たひお備忘録

とりとめのない趣味の、とりとめのない活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】

三陸鉄道とIGRいわて銀河鉄道と、東北地方太平洋側のJRローカル線 ~鉄印帳の旅(2) 【令和2年7月23日~25日】 その1

仙台駅に停車中の石巻行き特別快速列車

 ここ暫くの間あげ続けた食べ物ネタの記事のとおり、7月下旬の連休のさなか、こんなご時世ではあるのですが、Go To トラベルキャンペーンに乗っかって、東北方面へと旅行してまいりました。

 その第一の目的は、今年(令和2年)の7月10日から開始された、全国の第3セクター鉄道40社の「鉄印」を集める『鉄印帳』。で、これから暫くの間、三陸鉄道とIGRいわて銀河鉄道の鉄印を貰うついでに、それら鉄道に加えて東北地方太平洋側のJRローカル線に乗った時の記録をあげていこうかと。


計画の話

 前述のように今回の旅の第一の目的は三陸鉄道とIGRいわて銀河鉄道の鉄印ですが、うち三陸鉄道には、鉄印帳のことを知る前から、乗りに来ようと思っていたところでした。

 実のところ三陸鉄道には、だいぶ以前にも乗ったことがあった(ただし最後に乗ったのは20年以上前)のですが、その後、平成23年(2011年)に東日本大震災が発生。全線で大きな被害を受けてしまいました。

 そんな全線廃止になってもおかしくないような被害から、5日後には一部区間で運行を再開。以降、復興のシンボル的存在となり、平成26年(2014年)、ついに全線復旧を果たしました。そしてこの時、ぜひともまた乗りに来たいと思ったものの、その後なかなか都合が付けられず、そうこうしているうちに今度は昨年の令和元年台風19号によって被災。全線の約7割が不通に。

 で、その被害からも立ち上がり、今年の3月20日から全線で運行を再開。なのでもう、今年の夏は三陸鉄道に乗るしかないと思っていたところに、今回の鉄印帳の話が出たというわけで。

 ですがせっかく行くなら、ついでにどこか乗ってきたいと思うのが乗り鉄の悪いところ。「鉄印帳の対象路線ももう1つくらい回って来たいところだし、現地までは青春18きっぷを使うので、JR線も少々。」なんてやっていたら、2泊3日の行程で、まずは鉄印帳対象の三陸鉄道とIGRいわて銀河鉄道。そして、東日本大震災後にBRT化された気仙沼線と大船渡線。更には、東日本大震災後に開業した東北本線と仙石線を繋ぐ「仙石東北ライン」に加え、従来から東北本線と太平洋側を結んでいた仙石線、石巻線、大船渡線、釜石線、山田線、八戸線に乗る計画が完成。このうち、仙石東北ライン以外は過去に乗ったことがあるものの、前述の三陸鉄道同様にだいぶご無沙汰しているので、それらの路線との再開も楽しみですね。

令和2年7月23日(木)

 この日は、JRを乗り継いで仙台駅まで移動してから、JR仙石東北ライン、JR石巻線の一部、JR気仙沼線、JR気仙沼線BRT、JR大船渡線BRTと三陸海岸に極力沿うよう移動して、最後に三陸鉄道リアス線で釜石までという行程。

仙台駅まで

【某駅に入ってくる黒磯行き普通列車】
某駅に入ってくる黒磯行き普通列車

 7月下旬の、元々は東京オリンピックが開かれるわけだった連休の初日である7月23日の早朝。自宅最寄り駅から、宇都宮駅始発黒磯行きの下り一番列車に乗車。205系4連×2の8両編成で、列車が入ってくる時にざっと見たところ、各車両に10名未満という乗車率。乗客は私と同じ、青春18きっぷ利用と思われる人相風体をした人たちが目立ちます。

【黒磯駅の駅名標】
黒磯駅の駅名標
【黒磯駅に停車中の新白河行き普通列車】
黒磯駅に停車中の新白河行き普通列車

 (架線に流れる電気が)直流と交流が切り替わる黒磯駅では、5分の接続時間で、6時13分発の新白河行き普通列車に乗り換え。先ほど車内で見かけたいかにもな人たちと一緒にゾロゾロと跨線橋を渡ります。で、その際、下り列車の場合は先頭車寄りに乗ったほうが新白河駅での乗り換えがしやすいのは先日初めて乗った時にわかったのですが、新白河駅から先の車両が701系だった場合、せめて新白河駅まではクロスシートに座りたいと思って、後ろから2両目のサハE531に乗車しました。

 定刻に黒磯駅を発車した列車は、直流から交流へと切り替わったのも気づかせず(昔は、その切替区間を走行する際、室内灯が消えるなどしてわかったものです。)、高い鉄橋で那珂川を渡って高久駅、黒田原駅、豊原駅と停車。物心が付いて以降、最初は旅行好きの祖母に連れられ、その後は一人旅で何度となく見た栃木から福島へと至る県境の景色ですが、却って子供の頃の県境を超えるスペシャル感が思い出されるのか、ちょっとだけ気分が高揚します。

【新白河駅の駅名標】
新白河駅の駅名標
【新白河駅に停車中の福島行き普通列車】
新白河駅に停車中の福島行き普通列車

 6時36分の定刻に新白河駅に到着後、ここでも、いかにもな人たちと共に乗り換えるのは、6時46分発の福島行き普通列車。それでこの列車から、東北名物の701系電車ロングシート車で修行開始だと思っていたところ、降りた列車の前方に停車していたのは、望外セミクロスシート車E721系1000番代4両編成。元々2両固定編成で登場したE721系電車を4両編成化して平成28年(2016年)から導入が開始された車両です。

 更に幸いなことに、進行方向左側のボックスシートが空いていたのでありがたく着席させてもらうことに。列車はそれほど混雑せずというか、各ボックスシートやドア付近のロングシートに0から2人程度の乗客を乗せて発車。

【白河駅停車中】
白河駅停車中

 あまり面白みのない今時のインバータ音と共に新白河駅を発車した列車は、程なくして白河駅に停車。車窓から、木造で復元された天守閣を始めとする小峰城が見えます。その後は降り出した小雨の中を列車は走り、駅ごとに乗客が増えていく感じに。今日は旗日ですが、乗ってくるのは制服や揃いの部活着を着た高校生が多いです。

 7時25分の定刻に到着した郡山駅では、10分停車する間に乗客がわりと入れ替わり、私の座っているボックスシートにも年頃の女性が。このご時世のためマスクを着けていますが、逆に隠されている部分があるとそこを理想形で脳内補完するためか、美人に見えるのが良いですね。

【本宮駅-杉田駅間】
本宮駅-杉田駅間

 やがて五百川駅を過ぎると、左前方に安達太良山が見えるように。そこから3つ目に停車する二本松駅では、学生に混ざって登山っぽい格好をした人が降りていきました。そしてこの頃からでしょうか、福島駅が近づくにつれ乗客が増え、ドア付近は立つ人も。そんな中、列車は金谷川駅を出て、左手に吾妻小富士と東北道が。このあたり、東北自動車道からも何度も見た景色なので、個人的には馴染み深いです。その後は、福島盆地へと下っていき、8時25分の定刻、福島駅へと到着しました。

 福島駅からは、青春18きっぷの旅にもかかわらず、新幹線に乗り換えて仙台まで。旅程を立てる際に色々と検討した結果、往復ともこの区間を新幹線にすることによって、旅の間に乗れる路線がかなり増えるのがわかったんですよね。おまけに、そんな時のためにぴったりな割引きっぷ「新幹線Wきっぷ」というのがあることを発見。通常、福島駅-仙台駅間を東北新幹線の自由席を使って往復する場合、6420円(運賃1340円×2、新幹線特急料金1870円×2)かかるところ4700円で済むという。単純に4700円の支出は安くないと思いますが、再度段取りして乗りに来る手間と費用を考えたら安いというわけで。

【そば処ふくしま 店舗外観】
そば処ふくしま 店舗外観

 そんなわけで、列車を降りたら新幹線コンコースにあるみどりの窓口へと行き、件の切符を購入。それで改札口を入ったところ、全くノーマークだった立ち食いそば・うどん店を発見したという。ここ福島駅での乗り換え時間は13分と、それほど余裕があるわけではなかったのですが、見つけたからにはいただいてみたいと思うやいなや、食券を購入。

【いただいた天ぷら玉子入そば(500円)】
いただいた天ぷら玉子入そば(500円)

 店員のお姉さんの素早い調理で登場したこちらの品。早速ツユからいってみたところ、温度がやや高めで、出汁感はあまり感じない代わりに濃口醤油、塩気、甘味が結構強い濃いめの味わい。またソバは茹で麺ですか(失礼ながら)わりと蕎麦の香りがして、ツルっとしたすすり心地とプツンと切れる食感。それと具のかき揚げは、タマネギがメインですが衣が多いタイプで、ツユとの馴染みは悪くなかったです。

【福島駅に停車中の仙台行き東北新幹線やまびこ203号】
福島駅に停車中の仙台行き東北新幹線やまびこ203号

 蕎麦を食べている間に列車の時刻は迫っていたようで、ホームに上がると乗る予定の、8時38分発東北新幹線仙台行きやまびこ203号がホームに入ってくるところでした。(危なかった!)1分間の停車時間ののちに発車した新幹線は、あっという間にトップスピードに達し、先程までぐずついていた空も晴れたと思ったのもつかの間、ビュンビュン飛ばして約21分で、曇り空の仙台駅へと到着しました。

JR仙石東北ライン

【仙台駅に入ってくる新庄行き臨時快速湯けむり号】
仙台駅に入ってくる新庄行き臨時快速湯けむり号
【お見送りをする駅員さん達】
お見送りをする駅員さん達

 仙台駅からは、今回の旅の目的である色んな路線に乗っていくことになるのですが、とりあえずその前に、まずはトイレを借りてスッキリと。そしてその後、今日が運転開始日となる臨時列車の快速湯けむり号の発車を見送ることに。マスコミ?の取材も入り、駅員さんのお見送りを受けて、にぎにぎしく出発していきました。

【仙台駅に停車中の石巻行き特別快速列車】
仙台駅に停車中の石巻行き特別快速列車

 快速湯けむり号の発車からあまり間を置かずに同じホームに入ってきたのが、今回の旅で最初のお目当て路線というか運転系統である「仙石東北ライン」を走る、石巻行き特別快速列車。この仙石東北ラインそのものと、そこを走る専用のハイブリット気動車、どちらも初めて乗ることになるんですよね。

 で、この仙石東北ライン。仙台駅を起点に石巻駅と、一部列車は女川駅を結ぶ運転系統の愛称で、名前のとおり仙石線と東北線を、途中の仙石線・東北本線接続線を使用して直通運転する運転系統名。

 仙台駅と石巻駅の間には、従来よりJR仙石線が運転されてきましたが、仙石線は元々私鉄(宮城電気鉄道)のため駅間距離が短く駅数が多く、更には駅に待避線もないためスピードアップが難しい状況でした。そのため、仙石線と一部区間で並走し、駅間距離が長く高速運転ができる東北本線への連絡線「仙石線・東北本線接続線」がかねてより計画されており、平成23年(2011年)の東日本大震災後、震災復興事業として具体化。東北本線松島駅から仙石線の高城町駅へと接続する営業キロ0.3kmの連絡線(東北本線の支線扱い)が建設され、平成27年(2015年)5月に開業。「仙石東北ライン」として直通運転が開始となりました。

 ちなみに仙石線は直流1500Vで、東北本線は交流20000Vでと、それぞれ異なる方法で電化されていますが、連絡線は建設位置の地形上の制約などから非電化で建設されることに。かつてなら、非電化=気動車を使用=低速路線となり、速達させるための連絡線というメリットがなくなってしまうところでしたが、JR東日本は電車並みの高速で走ることのできる専用のハイブリッド気動車、HB-E210系を投入。で、このハイブリッド気動車の性能向上も、仙石東北ライン建設の契機となったそうで。

 それと専用のHB-E210系気動車ですが、平成27年(2015年)5月の仙石東北ライン開業と同時に2両編成×5本が投入された車両。片側3扉セミクロスシートの車体に、走行装置はシリーズ・ハイブリッド方式を採用。これはエンジン(ディーゼルエンジン)を発電にのみ使用し車輪はモーターで駆動するもので、気動車の駆動方式としては古くから内燃機関で発電してモーターを回す電気式(ガス・エレクトリックやディーゼル・エレクトリック)があったのですが、ディーゼルエンジンとモーターの間に大容量の蓄電池が入り、またモーターも制動時に発電機として使用する点が電気式気動車との違いとなっているそうです。

 それでこの仙石東北ラインを走る列車は、全列車が快速列車もしくは特別快速列車となっているのですが、この列車は1日1往復のみの設定となっている、最速達タイプの特別快速列車。仙台駅と石巻駅の間を約49分で結びます。その乗車列の先頭付近に並んでいたため、進行方向右のボックスシート窓側に座ることが。最もこの時それに浮かれてしまい、乗った車両の番号を控えるのを忘れてしまったのですが。で、他の乗客もそれぞれ席に落ち着き、ボックスシートやロングシートに誰かしら座ってる状態で、定刻の9時25分、仙台駅を発車しました。

【東仙台駅通過直後】
東仙台駅通過直後

 車両は前述のハイブリット方式ですが、さすがに発進加速時は発電のためディーゼルエンジンを回さなくてはならないようで、そのエンジン音と共に加速。仙台貨物ターミナル駅を通って東仙台駅の手前で合流する東北本線の支線、通称宮城野貨物線を走る貨物列車と並走の後、追い抜きました。

【塩釜駅-松島駅間】
塩釜駅-松島駅間
【仙石線・東北本線接続線を走行】
仙石線・東北本線接続線を走行

 仙台駅を出て約12分で、最初にして東北本線内唯一の停車駅である塩釜駅に到着。発車後、程なくして右手から仙石線の線路と、以前仙台から松島へと向かう時に走ったことがある国道45号が近づくと、東北本線では珍しく海が近くに見える区間に。もっとも、わりとすぐに見えなくなって、再び遠くに海が見えた東北本線松島駅の手前で速度を落として、いよいよ仙石線・東北本線接続線へと入ります。ちなみにこの連絡線、松島駅の構内扱いで、運賃も松島駅を経由した距離で計算されているようで。

 列車はその連絡線へと進入し、更に程なくして仙石線へと進入。ただ通過するだけなので、気をつけて進行方向右側の車窓の見ていない限りは連絡線はそんなに意識しないのですが、仙石東北ラインの運転開始当初は、無線切替などのためにこの連絡線で一旦停車していたそうですね。

【松島駅-高城町駅間】
松島駅-高城町駅間
【陸前富山駅-陸前大塚駅間】
陸前富山駅-陸前大塚駅間
【野蒜駅-陸前小野駅間】
野蒜駅-陸前小野駅間

 仙石線に入った列車は、高城川を渡って高城町に停車。下車する人より乗車する人が多く、席は空いてるけどドア付近に立つ人も。そして高城町駅を発車した列車は、市街地から田んぼ、そして林を抜けて、陸前富山駅を通過すると景色の良い松島の海沿いへと。しかしながら、景気が良いということは海沿いを走っているわけで、すると当然、東日本大震災の被害も大きかった区間ということで、海沿いには真新しい防潮堤が目に入ります。更にその次の陸前大塚駅を通過すると、今度は海沿いから内陸部へと入るのですが、真新しい高架線で田んぼの上を走り抜けていきます。

【陸前山下駅-石巻駅間】
陸前山下駅-石巻駅間

 やがて列車は、最後の停車駅である矢本駅に到着。若干乗客を増やして発車後は、石巻の市街地を走行。このあたりでも、空き地や真新しい建物が目に付きます。そして仙台駅を発車してから約49分で、10時14分の定刻に、列車は終点の石巻駅に到着しました。

【石巻駅の駅名標(仙石線ホーム)】
石巻駅の駅名標(仙石線ホーム)

 かつて仙石線のホームは、その成り立ち(元々は宮城電気鉄道という私鉄)によって、石巻線とは駅舎が別。(その後の平成2年(1990年)に石巻線のほうに駅が統合されてから、もう30年も経っていたとは……。)で、そのせいかどうかはわからないのですが、この石巻駅、ホーム番号の付け方がちょっと変わっていて。旧国鉄の駅は、駅長室の有る駅本屋(駅舎)側から順に1,2,…と付けていたことが多かったのですが、駅本屋に後付けした行止り式の仙石線ホームが2,1番線となり、元々の駅本屋直結の単式ホームが3番線、そこから跨線橋で連絡する島式ホームが4,5番線で、順に並べると2,1,3,4,5という具合になっています。(このあたり、JR東日本のウェブサイトで、石巻駅の構内図を見れば一目瞭然なんですが……。)

【石巻駅に停車中のマンガッタンライナー(あおば通行き普通列車)】
石巻駅に停車中のマンガッタンライナー(あおば通行き普通列車)

 で、まずは降りた1番線の反対側、2番線にたまたま停車していた、「マンガッタンライナー」という石巻市出身の漫画家、石ノ森章太郎先生のキャラクターが描かれた列車の写真を撮っていたところ、肩を叩かれました。どうやら降りる際、車内で首にかけていたイヤホンを落としていたようで、拾った親切な方が手渡してくださったという。実はお気に入りの品だったので、とてもありがたかったです。

JR石巻線(1)

【石巻駅の駅名標(石巻線ホーム)】
石巻駅の駅名標(石巻線ホーム)

 その後、3番線ホームから跨線橋を渡って次に乗る列車が発車する4番線へと向かうのですが、その4番線から発車する列車が走るのが、今回の旅のお目当てのひとつでもある石巻線。石巻線は、起点の小牛田駅と終点の女川駅を結ぶ44.7kmの路線で、起点駅と終点駅を含む駅数は14駅。全線非電化の、いわゆるローカル線となっています。

 その歴史はかなり古く、大正元年(1912年)、仙北軽便鉄道によって小牛田駅-石巻駅間27.9kmが開業。名前のとおり、軌間(2本のレール間の距離)762mmの軽便鉄道で、それが大正8年(1919年)に買収され国有化。路線名称が仙北軽便線と変更されました。そしてその翌年、軌間を1067mmに改軌。更に翌年の大正10年1月1日から路線名称も石巻軽便線、大正11年9月からは現在と同じ石巻線へと改称されました。更に昭和14年(1939年)、石巻駅-女川駅間17.0kmが開業。現在と同じ区間となりました。

 そんな石巻線ですが、東日本大震災で被災し、被災当初は全面運休になったものの、震災の起きた翌4月には小牛田駅-前谷地駅、5月には前谷地駅-石巻駅間で運転再開。12月には、この当時まだ不通だった仙石線の代替として上りの石巻発仙台行き(小牛田駅-仙台駅は東北本線経由)の翌平成24年(2012年)の1月からは下りの仙台発石巻行きの直通快速列車の運転を開始。(上下とも平成27年5月まで)その後同年3月には石巻駅-渡波駅間、平成25年(2013年)3月には渡波駅-浦宿駅間、そして平成27年(2015年)3月に浦宿駅-女川駅間が運転再開され、全区間の復旧がなされました。

 ちなみにこの石巻線。個人的には過去に乗ったことがあるものの、その時の記憶が曖昧かつ、記録をちゃんと残しておかなかった路線。そんな路線は全国に相当数あり、それらに乗って記録を残すのも、今回の旅の目的の一つだったりします。(乗った当時の写真やメモ類などを実家に置いておいたら、私が実家から引っ越した後、いつの間にか行方不明になっていたんだよなぁ……。)

【石巻駅に停車中の女川行き普通列車】
石巻駅に停車中の女川行き普通列車

 ホームに停車していた女川行きの普通列車は、キハ110系気動車の2両編成。ちなみにこのキハ110系(車体長20m)と、兄弟車と言えるキハ100系(車体長17m)は、主に旧型車両の置換え用として、平成2年(1990年)からJR東日本が導入を開始した形式。やたらとバリエーションが多いのが特徴的ですが、この列車に使われているのは普通列車用として製造されたキハ110形の100番台というタイプで、平成3年(1991年)に登場しました。車両の両側に運転台が付いた(両運転台)2扉の車体に、車内は車端部のドア付近がロングシート、中央部が固定式クロスシート(ボックスシート)という座席配置ですが、ボックスシートの片側が4人掛け、片側が2人掛けという変則的なものになっています。

 乗り込んだ先頭車のキハ110-126は、平成3年(1991年)9月の製造。その車内はわりと空席があったので、空いていた進行方向右側の2人掛けボックスシートに着席。ですがその後、続々と乗客が増え、最終的には各ボックスシートに1〜2人、ロングシートにもそれなりの乗客が座って、定刻の10時36分、石巻駅を発車しました。

 発車して暫くは石巻市の市街地を走り、旧北上川を渡って陸前稲井駅に停車。わずかに乗客の入れ替えがありました。その後、零羊崎(ひつじさき)神社が鎮座する牧山をトンネルで抜け、渡波(わたのは)駅、そして万石浦駅と停車しますが、万石浦が車窓から望めるのは、次の沢田駅のあたりから。

【沢田駅-浦宿駅間(1)】
沢田駅-浦宿駅間(1)
【沢田駅-浦宿駅間(2)】
沢田駅-浦宿駅間(2)
【沢田駅-浦宿駅間(3)】
沢田駅-浦宿駅間(3)

 沢田駅を出た列車は、万石浦の静かな水面(みなも)に沿って走行。仙台藩二代目藩主伊達忠宗公が「ここを干拓すれば一万石の米が穫れる」と言ったと伝わる海跡湖で、水面には牡蠣の養殖施設(延縄用の浮き玉?)が見えます。しかし、こんな静かな内水面でも、東日本大震災の際は相当な津波被害を受けたそうで。

【女川駅進入】
女川駅進入

 浦宿駅を出ると万石浦を離れ、牡鹿半島の基部をトンネルなどで横断して終点の女川駅に、定刻の11時1分に到着。石巻駅から乗った大半の乗客が、女川駅まで乗り通したようです。それにしても、ホーム、駅舎とも全て新しいのが、東日本大震災の被害の大きさを物語っていますね。

【女川駅の駅舎】
女川駅の駅舎

 女川駅では一度改札口を出て、駅舎の写真を撮影。駅周辺は観光施設になっているようで、連休とあって賑やかというか楽しげというか。食べ物のお店もあって、食い意地の張ったワタシ的には、何か地の海産物でもいただきたかったところなのですが、今日はこの後の乗り継ぎの都合で、乗ってきた列車の折返しに乗らなくてはならないため、後ろ髪を引かれる思いで、女川には今度またゆっくり来ることを心の中で誓いつつ、駅舎の写真を撮った後は大急ぎで駅へと戻りました。

【女川駅の駅名標】
女川駅の駅名標
【女川駅に停車中の小牛田行き普通列車】
女川駅に停車中の小牛田行き普通列車

 女川駅からは前述のとおり、先程の列車の折返しとなる11時9分発の小牛田行き普通列車に乗車しますが、先程とは乗る車両を替え、今度先頭車となったキハ110-123に乗車。ちなみにこの車両も先程のキハ110-126同様、平成3年(1991年)に製造された車両のようです。また着座位置も先程の反対側である進行方向右側の4人掛けボックスシートに。万石浦の景色はまた見たかったのですが。

 来る時と同じくらいのそこそこの乗客を乗せて、列車は定刻に女川駅を発車。進行方向右側の景色は山が迫って視界が効かないので、ついつい反対側の窓からの景色を見てしまう感じ。先程まで曇りがちだった空模様も、晴れ間が見え強い夏の日が差してきています。

【陸前稲井駅-石巻駅間】
陸前稲井駅-石巻駅間

 そんな中、浦宿駅では、若いアジア系の外国人男女が多数乗車。うち一部が万石浦駅で降りる時、何故かとても時間がかかって、結局列車は約3分遅れでの発車。その遅れを維持したまま再び旧北上川を渡って石巻駅に到着しましたが、乗っていたほとんどの乗客が、ここで降りるようでした。

【石巻駅の駅舎】
石巻駅の駅舎

 この列車は元々、石巻駅に11時34分着、11時53分発と20分近く停車することになっていたので、3分程度遅れたところでまだまだ停車時間はたっぷり。ということで、荷物を持って一度列車を降り、まずは駅舎をカメラに収めてから、駅構内のニューデイズ(JR東日本の駅構内にあるコンビニ)で食料調達して再び列車に乗り込むと、先程座っていた席が空いていたのでまた着席。

【駅構内のコンビニで調達した食料】
駅構内のコンビニで調達した食料

 早速車内で、先程購入したものをいただくのですが、まずおにぎりは、鶏肉がいい意味で意外に大きく食べごたえがありました。それと、何か当地らしい品ということでかまぼこも買ったのですが、その「旅するかまぼこ」という品を、パッケージに「つれてって!」と書いてあるにもかかわらず、買ってすぐいただいてしまったのはどうなんでしょ。ちなみにそのかまぼこ、味はもちろん美味しかったのですが、パッケージののほか中の個包装フィルムにもかわいい魚のイラストが書かれていて、食べるのがちょっと勿体なかったんですがね。

【石巻駅-曽波神駅間】
石巻駅-曽波神駅間

 と、おにぎりとかまぼこをいただいているうちに、定刻となり発車。長い停車時間の間に乗る乗客はあまりいなかったようで。列車は石巻の市街地を抜けると、旧北上川をかすめて北上。曽波神(そばのかみ)駅に停車後、車窓の景色のメインは家並みから、旧北上川がもたらした水田へと変わり、再び街に入って鹿又(かのまた)駅に停車。約3分停車する間に高校生が数人降りていき、女川行きの列車と交換します。

【佳景山駅-前谷地駅間】
佳景山駅-前谷地駅間

 その街を抜け、また景色が水田に変わると佳景山(かけやま)駅に停車。それにしても、先程来空模様は晴れ間が多くなり、夏の空と水田の、生命力あふれる緑色との取り合わせが、とても美しいですね。その中を進み、右手から気仙沼線の線路が合流すると、定刻の12時14分、前谷地駅へと到着しました。

 それで今乗っている石巻線は、前述のとおりこの列車の終点である小牛田駅まで続いているのですが、今日はこの前谷地駅で列車を降り、気仙沼線に乗り換えることに。じつはこの列車に乗り続けて小牛田駅まで行き、折り返しの列車に乗って前谷地駅まで戻ってきても、次の気仙沼線の列車には、接続時間1分と際どいながらも間に合ってしまうのですが、際どい乗り換えは精神衛生上良くないですし、何より乗り換た時に席が空いていないのも嫌なので。ちなみにこの日スルーした小牛田駅と前谷地駅の間は、旅の最終日である明後日に乗る予定となっています。

(つづく)

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