たひお備忘録

とりとめのない趣味の、とりとめのない活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】

九州新幹線(鹿児島ルート)乗車記 【平成31年2月10,11日】

博多駅に停車中のつばめ321号

 昭和50年(1970年)3月に博多駅まで来ていた山陽新幹線と、平成16年(2004年)3月に新八代駅-鹿児島中央駅間が部分開業していた九州新幹線(鹿児島ルート)が繋がったのが、あの東日本大震災の翌日である平成23年3月12日のこと。震災に配慮して記念式典などがキャンセルとなり、粛々と開業したような記憶があるのですが、その博多-鹿児島中央間に、今回初めて乗ることが出来ました。


九州新幹線(鹿児島ルート)について

 九州新幹線のうち、博多駅と鹿児島中央駅を結ぶ鹿児島ルートについては、昭和45年(1970年)に交付された『全国新幹線鉄道整備法』に基づき、昭和48年(1973年)に建設が決定されたものの、その後数多の紆余曲折があって八代駅(その後起点を新八代駅に変更)-西鹿児島駅(現:鹿児島中央駅)間の着工にこぎ着けたのが23年後の平成3年(1991年)のこと。その後また色々とあったのですが(この辺書き出すと、新幹線の規格の話やら何やら色々と長くなるので……。)博多までの区間も順次着工し、平成16年(2004年)3月、新八代駅-鹿児島中央駅間が部分開業。そして平成23年3月に博多駅-新八代駅間が開業して全通しました。

 博多駅ー鹿児島中央駅間の実距離は256.8kmですが、運賃計算に使う営業キロは288.9km。(並行するJRの在来線が残る区間は、在来線の距離を運賃計算に使うというルールがあるため。)最高速度は260km/hで、全体の49パーセントがトンネルで占められているのは山陽新幹線と同様なのですが、その他、新幹線ではもっとも急な勾配となる35パーミルの区間が2箇所含まれるのが特徴的。また駅の数は12(起点と終点を含む)で、そのうち博多駅、熊本駅、鹿児島中央駅には全列車が停車します。

 そして、そこに走る列車種別と愛称は、山陽新幹線から直通となる最速達タイプ(のぞみ号に相当)のみずほ号、同山陽新幹線区間から直通もしくは九州新幹線内完結の速達タイプ(ひかり号に相当)のさくら号、九州新幹線内完結各駅停車タイプ(こだま号に相当)のつばめ号の3種別。車両は、JR九州800系(6両編成・グリーン車なし・普通車4列シート)とJR九州・西日本N700系(8両編成・半室グリーン車あり・普通車指定席4列シート自由席5列シート)の2種類が運用されていますが、みずほ号がN700系、さくら号とつばめ号は800系とN700系を使用。ちなみに、どちらの形式も全車電動車で、営業最高速度は800系が260km/h、N700系が300km/hとなっています。

実際に乗ってみる

 と、これまで九州新幹線(鹿児島ルート)(以下九州新幹線)について色々書きましたが、実は今回、九州に渡る時には、九州新幹線に乗るかどうか決めかねていました。

 というのも、今回九州に行くそもそもの目的は、旅の2日目に立ち寄る佐賀競馬場であり、第二の目的として決めたのが、1日目に行くBAOO荒尾。よって、もし九州新幹線に乗るならそれらに影響の出ない2日目の早朝に往復するしかなかったことに加えて、今回宿を取った博多から鹿児島中央まで往復で2万円弱という、旅行中、リアルでわりと痛い金額が飛ぶということもありまして。なのでとりあえず1日目、BAOO荒尾の往復でちょっとだけ味見をして、あとは成り行き任せという感じで旅の初日を迎えました。

平成31年2月10日(日)

 ですが、福岡空港行きの飛行機が少々遅れたことから波乱含みのスタート。元々、飛行機の福岡空港到着予定が11時丁度で、そこから福岡空港駅11時22分発の福岡市営地下鉄に乗り継ぐという、一人旅ならではの無茶な計画を立てていたのですが、実際に福岡空港に着き飛行機のドアが開いたのが11時10分。そこから急ぎ足で地下鉄ホームへと向かい、11時17分に到着。「間に合った!」と思ったのもつかの間、折り返しとなる列車の到着が3分遅れる旨のアナウンスがありました。なので、博多から予定どおりの九州新幹線に乗るのは半ば諦めたのですが、遅れて到着した福岡市営地下鉄の運転手さんが、ダッシュでホームを移動。なんと、折り返しの定刻出発に間に合わせてしまったという。

【博多駅に停車中のつばめ321号】
博多駅に停車中のつばめ321号
【先頭車にラッピングされた中村勘九郎さん】
先頭車にラッピングされた中村勘九郎さん

 博多駅では12分の乗り換え時間で、11時40分発の熊本行きつばめ321号に乗り換え。時間的に余裕がなく、カードが使えない券売機しか見当たらなかったので、仕方なく現金で乗車券と特急券購入。(財布の中の実弾(現金)をあまり減らしたくなかったもので。)そして急ぎ足でホームに向かうと、既に入線していたのは、今年の大河ドラマ『いだてん』のラッピングが施された800系電車です。加えて、先端部に記された編成番号を見たところ、800系の中でも平成21年(2009年)から増備された1000番台の最終編成、U009編成のようですね。それにしても、今回、場合によってはこの日しか九州新幹線に乗る機会が無いため、ここでJR九州オリジナルの新幹線車両800系に乗るべく組んだ行程だったのですが、無事間に合って良かったです。(ダッシュした地下鉄の運転手さんに感謝。)

【2号車の車内】
2号車の車内
【2号車のシート】
2号車のシート
【先頭車側の妻板(降車時に撮影)】
先頭車側の妻板(降車時に撮影)

 それでとりあえず、先頭車の写真だけ撮って乗車。何となく2号車に腰を落ち着けると、程なく発車時刻となりました。で、この車両、シートが革製なのですが、そういえば800系の1000番台は、号車ごとにシート表面の素材が違うんですよね。あと、先頭車側の幕板が、金色(金箔貼り)というのが凄いな、と。それにしても、日曜の昼、博多初熊本行きの新幹線の車内は、寥々という言葉がぴったりな程空いていました。

【新鳥栖ー久留米間にて】
新鳥栖ー久留米間にて

 定刻に博多駅を発車した列車は市街地を南下。それを過ぎると続けざまにトンネルを通過。そして今度のトンネルは長いぞと思っていたところ、それから抜けると最初の駅である新鳥栖駅に停車。そこからは筑紫平野を進むのですが、すぐに久留米駅に停車し、更に、建設開始時は信号所だったという筑後船小屋駅に停車。ここでこの列車を降りるのですが、博多駅から25分じゃ、正直物足らないというか、もっと乗っていたかったですね。

【筑後船小屋駅を発車するつばめ321号】
筑後船小屋駅を発車するつばめ321号
【筑後船小屋駅新幹線駅舎】
筑後船小屋駅新幹線駅舎
【筑後船小屋駅在来線駅舎】
筑後船小屋駅在来線駅舎
【筑後船小屋駅に停車中の八代行き区間快速列車】
筑後船小屋駅に停車中の八代行き区間快速列車

 筑後船小屋駅からは、この旅最初の目的地であるBAOO荒尾、元の荒尾競馬場に向かうべく、12時16分発のJR鹿児島本線下り区間快速列車に乗り換え。それでこの筑後船小屋駅は、新幹線の駅舎と在来線の駅舎が別れているんですね。

【荒尾駅に入線する鳥栖行き普通列車】
荒尾駅に入線する鳥栖行き普通列車

 BAOO荒尾に到着後は暫し競馬にいそしんだのですが、なんと、(珍しく)儲けることが!これで明日、博多駅から鹿児島中央駅まで往復する資金は出来ました。しかしながら、問題は体力。このところ自らの体力低下を実感し、昨年夏に行った台湾では寝坊から列車を乗り逃がす失態を犯しているんですよね。なので、ちょっとでも早く宿に帰って体力を回復すべく、荒尾からの帰りも新幹線に乗ることに。加えて、明日は行程の都合でN700系しか乗れないため、今日のうちにもう一度800系に乗っておこうという目論見もありまして。ほんと、資金的に余裕があるって、素晴らしいなぁ。

【筑後船小屋駅に入線するつばめ330号】
筑後船小屋駅に入線するつばめ330号
【3号車の車内(降車時に撮影)】
3号車の車内(降車時に撮影)

 荒尾駅からは普通列車で移動し、筑後船小屋駅で16時35分発の、つばめ330号に乗り換え。やって来たのは800系の0番台、 U002編成で、今度は3号車に乗車したのですが、この列車も結構空いていますね。ちなみに、来る時に乗った800系1000番台の車両とは、シートが高さや角度など微妙に違うのですが、この時はシート表面のが皮じゃなく布だな思ったくらいだったりして。で、列車は筑後船小屋駅を発車すると、来た時の逆回しで景色が流れ、来た時と同じ25分で博多駅に到着しました。

平成31年2月11日(月・祝)

 翌日、午前3時過ぎに目が覚めるとその後は眠れず朝に。ただ、寝足りて目覚めたわけではないので頭はボーっとして体調的にもイマイチなのですが、せっかくなので、鹿児島中央駅まで往復することに。しかも、宿から一歩出ると雨がシトシトと降っているではないですか。列車に乗るだけなら、運休になるほどの荒天でもない限り天気は関係ないのですが、正直、雨よりは晴れている方が好ましいなぁ、と。

【博多駅に停車中のつばめ321号】
博多駅に停車中のつばめ321号
【側面のロゴ】
側面のロゴ

 その雨の中、午前6時前に博多駅に到着。券売機で鹿児島中央駅までの乗車券と新幹線の自由席特急券を購入してホームに上がると、既に鹿児島中央行きのつばめ307号が停車していました。で、その車両はN700系の8両編成。ちなみに、山陽・九州新幹線用のN700系はJR西日本の車両とJR九州の車両があるのですが、運転席のガラス窓に書かれた編成番号がS7となっていたので、この列車は九州新幹線内だけの走行にもかかわらず、JR西日本の車両なんですね。

【1号車の車内】
1号車の車内
【1号車のシート】
1号車のシート

 時間もあまりないので、先頭車の写真だけ撮ってから乗車。席はその先頭1号車の進行方向左側(山側)、3人掛けシートの窓側A席に座ることに。そして定刻の6時10分、私以外の乗客はゼロで博多駅を発車しました。

 発射して程なく、左手に山陽新幹線の車両基地である博多総合車両所と、博多南線の博多南駅が過ぎ去ります。その手前、博多駅から8.2kmまでの区間は、この博多南線と九州新幹線は線路を共用しており、また120km/hの速度制限がかかっている区間でもあるのですが、それを過ぎるとスピードアップ。暗闇の中、各駅に停車しつつ走るのですが、新鳥栖駅、久留米駅では1号車への乗客は無し。ようやく筑後船小屋駅で1人乗って来たと思ったら、席に着いた途端、缶ビールを開けるプシュっという音が聞こえてきました。また乗客があまりいない所為ではないと思うのですが、車内はわりと寒くて、ダウンの上着を着ていて丁度いいくらいです。

 ここから先は、昨日乗っていない区間に入るので、外の景色を眺めたいところですが、まだ夜が明ける気配はなく、相変わらず暗闇の中を走行。そんな中停車した新大牟田駅、新玉名駅でも1号者への乗客は無し。そしてようやく夜が明けてきたと思ったら、熊本駅に到着。ここまでこのあたりでも雨が降っているようで、地面が濡れていました。

 1号者には数人の乗客が乗り、熊本駅を発車。列車は熊本平野から八代平野を疾走するのですが、このあたり、防音壁がわりと高いですね。そして次の停車駅、新八代駅は霧の中でした。そしてこの先、線路は九州山地の端の方に入り、何本かのトンネルを抜けると新水俣駅に到着。個人的に、水俣というと海を連想するのですが、この駅は山の中にあるんですね。あと、山がちな地形になった途端、携帯電話というかパケット通信が繋がりにくくなったというか。

【出水-川内間にて】
出水-川内間にて

 この後も、車窓はトンネルが連続。その合間にわずかに見える景色に九州らしさを探すも、何ともわからないというのが正直なところです。景色を見せるために線路を引いている訳ではないのは承知しているのですが、正直退屈に感じてきました。そんな中、列車は鹿児島県に入り、出水駅に停車。発車するとまた山がちな地形となり、川内駅に。ここで久しぶりに1号車に1人乗ってきました。

 ここから先、薩摩半島の基部を横切るように線路は続くのですが、相変わらず車窓はトンネルの連続。それが終わった、と思ったら、程なくして都市の中に入り、定刻の8時28分、鹿児島中央駅に到着。各駅停車タイプの列車でも所要時間が1時間48分って、特急で3時間40分掛かっていた頃と較べると、ものすごく早いですね。で、ここも雨が降っていて、列車から降りると、博多より寒く感じるほどでした。

【鹿児島中央駅の駅名標】
鹿児島中央駅の駅名標
【鹿児島中央駅】
鹿児島中央駅

 鹿児島中央駅では、とりあえず一度外に出て駅舎の写真を撮影。以前ここに来たのは20年以上前、当時は未だ西鹿児島駅だった頃なのですが、駅の変わり具合にとても驚いきました。その後、新幹線コンコース内のお店で朝食にうどんを一杯。ここまで来たら(自分の中に)何か爪痕を残そうと思って調べたところ、朝から営業している立ち食いうどんのお店があったので、これ幸いとばかりにいただくことに。

【PATIO鹿児島】
PATIO鹿児島
【いただいた豚軟骨うどん540円+温泉玉子100円】
いただいた豚軟骨うどん540円+温泉玉子100円

 そのお店は、新幹線コンコース内にあるPATIO鹿児島。豚軟骨うどんという、地元の方はあまり食べなそうなメニューをいってみたのですが、ツユは出汁感がわり、若干醤油が立った味付けも好み。うどんは多分冷凍麺ですが柔らかさもあり、具の豚軟骨も甘じょっぱい醤油味が染みて美味しくいただきました。

【鹿児島中央駅に停車中のさくら372号】
鹿児島中央駅に停車中のさくら372号

 朝食を食べて多少元気になり、再び新幹線ホームへ。復路は、この日の元々の目的である佐賀競馬場へ向かうべく8時29分発の博多行きのさくら372号に乗って新鳥栖駅まで。先程の列車と同じN700系ですが、編成番号がR11ということで、今度はJR九州所属車両です。それでこの時になってようやく思い出したのですが、山陽・九州新幹線用のN700系って、指定席車両が4列シートだったんですよね。なので、そのあたりも是非とも試してみたいところだったのですが、ここまで寝惚けていたのですっかりと忘れ、この列車も自由席特急券を買ってしまっていたという。で、発車まで時間が無いので今回はスッパリ諦め、2号車の進行方向左側(海側)、2人掛けシートの窓側E席に座ることに。指定席は、いつか、今回乗らなかった最速達タイプのみずほ号で体験することにします。

【出水-新水俣間にて】
出水-新水俣間にて

 来た時よりは多少多い乗客を乗せ定刻に鹿児島中央駅を発車した列車は、熊本駅まで各駅に停車。先程と反対側の席は、同じ山がちな地形のところを走っても車窓の展望が開けていて、出水駅を出たあたりではちょっとだけ海が見えました。(その後、新水俣駅を出たあたりでも遠くにちょっとだけ海が見えました。)

【新八代-熊本間にて】
新八代-熊本間にて

 やがて列車は八代平野から熊本平野に入り、車窓には一面の農地が。熊本駅を発車すると、この先、新玉名駅、新大牟田駅、筑後船小屋駅を通過。その間列車は筑肥山地の端の方をいくつものトンネルで抜けて筑紫平野に入り、定刻の9時51分、新鳥栖駅へと到着しました。

【新鳥栖駅に到着】
新鳥栖駅に到着


 というわけで、今回の九州新幹線乗車記はここで終わりとなったのですが、指定席のこととかみずほ号のこととか、多少の心残りも正直ありました。また、久しぶりに訪れた鹿児島中央駅は滞在時間31分で引き返すといった阿呆なこともやってしまったので、それらのリベンジを兼ね、いつかまた、九州新幹線を使ってまともな旅をしたいと思います。

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