たひお備忘録

とりとめのない趣味の、とりとめのない活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】

臨時特急ニセコ号とJR北海道の特急型気動車乗車記 その1 【令和元年9月1~3日】

札幌駅に停車中の特急スーパー北斗2号

 もともと今回の旅の主目的は、北海道にある競馬場4か所のうち3か所を訪問することだったのですが、その後、計画が最終的に固まる段階で、それと並ぶ目的として加わったのが、旅行中がちょうど運転期間にあたっていた臨時特急ニセコ号を始めとする気動車特急列車に乗ること。もっとも、すべての列車に乗ることは日程の都合上無理だったので、今回は函館-札幌間と札幌-帯広間に運転されている列車に限って乗ることにしました。

 で、その乗車記の第1弾が、札幌から函館へと向かう特急スーパー北斗号です。

後記事の「その2」はこちら後記事の「その3」はこちら


 この記事のタイトルや冒頭にも書いたように、今回の旅においての乗り鉄のメインは、函館-札幌間を、函館本線、通称「山線」経由で運転される、臨時特急ニセコ号に乗ることなのですが、もちろん全区間に乗ろうと思っていたので、札幌発函館行きに乗るにしろ、函館発札幌行きに乗るにしろ、もう片道乗る必要がありました。で、一瞬、往復ともニセコ号なんて考えが頭に浮かんだものの、いくら私でもそこまではしかねるので、ニセコ号は函館発の列車だけにして、函館へは、特急スーパー北斗号で向かうことにしました。

特急スーパー北斗号とキハ281系について

 まずはじめに、これから乗る特急スーパー北斗号と、それに使われるキハ281系気動車について。ちなみにこの章は例によって乗るにあたりウィキペディアとかで調べたことをダラダラ書いただけですので、読まずに乗車記まですっ飛ばしていただいても。

特急スーパー北斗号について

 特急スーパー北斗号は、函館駅と札幌駅の間を結ぶ、JR北海道の特急列車。

 函館駅-札幌駅間を室蘭本線、千歳線経由(東室蘭駅経由)する直通の優等列車は、戦後、日本に進駐してきた連合軍の専用列車として昭和21年(1946年)に運転を開始した列車がルーツで、それ以降、複数の愛称の列車が運転されてきたのですが、初めて特急列車が運転されのが昭和40年(1965年)11月のダイヤ改正の時。当初は函館駅-旭川駅間に、新製されたキハ80系(キハ82系)気動車を使用する特急として新設され、「北斗」という愛称が付けられました。

 その後は同名で函館駅-札幌駅間の特急列車が新設されたり、また函館駅-札幌駅間の特急列車は「エルム」という愛称に変更されりした時もあったのですが、昭和47年(1972年)3月のダイヤ改正からは現在と同様、函館駅-札幌駅間の特急列車か「北斗」に統一。2往復だった運転本数も、特急列車の運転系統見直しや急行列車の格上げなどで増え、国鉄末期の昭和61年(1986年)には8往復を数えるまでになりました。また使用する車両も当初のキハ80系に加え、昭和58年からは北海道専用車両として新製されたキハ183系気動車を投入。JR北海道移行後の昭和63年(1988年)3月からは、一部列車に最高速度を120km/hに引き上げた新型の183系550・1550番代(NN183系)気動車が投入され、函館駅-札幌駅間の所要時間が最速3時間29分となりました。

 ちなみに、登場当初から昭和50年台くらいまで(個人の感想です)は、本州から青函連絡船を介した北海道連絡列車としての性格があった北斗号ですが、航空機利用の一般化によって、昭和の終わり頃には函館札幌間の都市間輸送のみを目的とした列車に変化していったように思います。また、高速バスとの競争にもさらされ、JR以降後は(北斗に限った話ではありませんが)スピードアップの必要に迫られたようにも。

 そして平成6年(1994年)、振り子式車両のキハ281系気動車の投入により、使用する5往復が「スーパー北斗」として運転を開始。従来のキハ183系気動車を使用する「北斗」6往復と合わせ11往復体制となりました。また「スーパー北斗」「北斗」とも一部列車の最高速を130m/hに引き上げた結果、スーパー北斗号の最速達列車の所要時間は3時間を切り(2時間59分)、表定速度(運転距離÷所要時間)106.8km/hは当時の在来線最速列車となりました。

 その後、キハ281系の後継となるキハ283系気動車の新製投入により更に2往復が「スーパー北斗」として運転を開始したものの、安全上、保守上の理由で最高速度の引き下げ(130km/hから120km/hへ)や、キハ261系1000番代気動車の新製投入による使用車両の変更などがあり、現在(平成31年(2019年)3月ダイヤ改正以降)は全列車が「スーパー北斗」として定期列車12往復が運転。(うち、キハ281系気動車が3往復、キハ261系気動車が9往復。)所要時間は最速達列車で3時間29分となっています。

キハ281系気動車について

 平成3年(1991年)から始まった函館駅-札幌駅間の高速化事業に合わせ、平成4年(1992年)に試作車が登場、平成6年(1994年)から営業運転を開始した振子式車両の特急型気動車で、在来線特急型気動車で初めて時速130km/hで営業運転を実施しました。ちなみに振子式車両というのは、曲線通過時に車体をカーブ内側に傾ける機構を持つ車両で、これにより曲線通過時のスピードアッブが可能となります。

 エクステリアは、その後のJR北海道特急型車両の標準となったステンレス製の車体に先頭部は鋼製の貫通路付き高運転台というスタイルで、走行装置は355PSの直列6気筒過給器(インタークーラー付きターボチャージャー)付きディーゼルエンジンを1両あたり2台搭載。設計最高速度は145km/hとなっています。また走行路線の情報に合わせて車体の傾斜動作を制御する「制御付き自然振子機構」(最大傾斜角5度)により、曲線を本則(本来定められた通過速度)+30km/hで通過することができます。

 しかし平成25年(2013年)から、それ以前に発生していたJR北海道の一連の不祥事を受け、安全上、保守上の理由で通年120km/h運転になってしまいました。(これまでも、冬季、車体に付いた氷塊が走行中に落下してバラストを巻き上げ、車体を破損するといった事故が発生していたため、冬季の以降速度が120km/hに引き下げられていました。)

 現在は全27両が函館運輸区に所属し、特急スーパー北斗号のうち3往復で使用されています。

実際に乗ってみる

 そんなスーパー北斗号ですが、個人的にはぜひとも、キハ281系気動車を使用する列車に乗りたいな、と。この旅を計画した当時、JR北海道の特急用気動車が将来的にキハ261系に統一されることは知らなかったのですが、それよりも、以前北海道にクルマで行った時に何度か見た、走っている姿が強く印象に残っていたんですよね。(当時は事情があってクルマ一択だったから、乗りたいと憧れたのよ。)それに、振り子式車両に乗れる機会ってそうそうないですし。

 それでどの列車がキハ281系気動車か調べたところ、そのうちの1本が上りの2号。更に都合がいいことに、この列車がスーパー北斗の最速達列車じゃないですか。なので即座にJR東日本「えきねっと」で指定席を予約。トクだ値30の割引が使え、切符代は運賃4000円、指定席特急料金2170円の合計6170円となりました。で、少々使いづらいと評判のえきねっとですが、それでも、自宅に居ながらにして座席位置まで指定のうえ予約できるって、何とも便利な時代になりましたね。

【札幌駅に停車中の特急スーパー北斗2号】
札幌駅に停車中の特急スーパー北斗2号
【先頭部のFURICO 281ペイント】
先頭部のFURICO 281ペイント

 そして当日、午前5時40分過ぎに札幌駅へ。改札を通り、コンコースの札幌駅立売商会の売店で駅弁を買ってから、列車が発車する4番線ホームへ。そしてスーパー北斗2号は、5時46分に8両編成で入線してきました。

【1号車の車内】
1号車の車内
【1号車(普通車指定席)のシート】
1号車(普通車)のシート

 今回の席は先頭となる1号車なので、先頭部の写真を撮った後、早速乗車。そして、進行方向左側となる9D席に着席。さすがは今時の特急列車のシートだけあって、バゲットシートはホールド感があり快適。座面も適度な硬さですね。

 程なくして定刻の6時00分となり、特急スーパー北斗2号は1号車に数名の乗客を乗せ、ディーゼルエンジンが唸る音と共に札幌駅を後に。エンジンの回転数を上げ高架線を飛ばしていくのですが、久しぶりに味わうディーゼルエンジンの音、最高ですね!で、その音を聴いてディーゼル特急に乗ったのって相当久しぶりだななんて思ったのですが、そういえば昨年、台湾で特急列車に相当する自強号乗っていましたっけ。

【やまべ鮭寿司】
やまべ鮭寿司のパッケージ
やまべ鮭寿司の中身

 発車して早速、乗る前に購入した駅弁、札幌駅立売商会の「やまべ鮭寿司」を。じつはこの駅弁、今から三十数年前、初めて北海道に来た時にいただいた個人的には思い出深い品なんですよね。で、当時は確か350円くらいだった=貧乏旅行の最中でも買えた記憶があるのですが(本当にこの品だったのかや価格については、いまとなっては検証する手段がないので壮絶な勘違いかもしれませんが。)、今でも600円と駅弁の中ではリーズナブル。ちなみに「やまべ」はヤマメ(山女魚)の北海道での呼び方で、しっかりと酢締めされたものが一尾分入っています。

 その弁当を食べていると、線路は高架のまま函館本線から千歳線へと入り、最初の停車駅新札幌駅に停車。札幌駅発車後、ビル群だった車窓は住宅地となり、さらに列車が進むと駅の前後が住宅地でその間は林など緑が増えていくという按配で、。そこからさらに進むと農地も混ざりだすのですが、住宅の形状や白樺が混ざる林、大きな面積の畑を見て、渡道2日めにして北海道に来たことを実感。もっとも、最近建てられたっぽい住宅は、形状がそんなに特徴的ではないようにも見えましたが。やがて反対側の車窓に新千歳空港が現れると、かつての千歳空港駅である南千歳駅に到着。新札幌駅からここまで19分、この区間だけの表定速度にすると104.5km/hと相当な俊足です。

【日本最長直線区間の車窓から見た太平洋】
日本最長直線区間の車窓から見た太平洋

 南千歳駅を1分停車ののちに出発し暫く進むと、通過となる沼ノ端駅で室蘭本線と合流。ここから停車する苫小牧駅を経て通過となる白老駅までのあいだ28.736kmは、日本で一番長い鉄道の直線区間となっていますが、車窓的には苫小牧駅を出て程なく、左手に太平洋が広がります。海が見えると気分が盛り上がるのは、海無し県に育ったものの宿命。で、その太平洋を見つつ進むと、東室蘭駅に停車。かつては鉄の生産などで栄え、人口も18万人を数えるなど沿線随一の都市だった室蘭ですが、今や人口はかつての半分以下となってしまったんですね。

【車窓から見た内浦湾】
車窓から見た内浦湾

 しかし列車はその室蘭に敬意を表すかのように、東室蘭駅では、この列車の中では長い1分の停車ののち出発。市街地を抜けた頃車窓に広がる海は、先程までの太平洋から、この先、噴火湾こと内浦湾に変わります。それでこの先、線路にはカーブが増えるものの、さすがは振り子式を採用するこの車両は、速度を落とさずにグイグイと。ちなみに、振り子式によるカーブ時の車体傾斜角度は最大5度となっているのですが、路線のデータから傾斜動作を制御する方式なので、シートに座っている限りはそんなに傾いていないように感じるものの、トイレ行こうと通路を歩く際にはわりと激しい動揺を感じてやっぱり振り子式車両であることを実感。車掌さんが検札に来た時は事もなげに歩いているように見えたのですが、やはり特急列車の車掌さんともなると、相当に訓練された方なんですね。

【車窓から見た内浦湾越しの駒ケ岳】
車窓から見た内浦湾越しの駒ケ岳
【車窓から見た大沼】
車窓から見た大沼

 東室蘭駅を出た列車は伊達紋別駅に停車した後、函館本線と合流する長万部駅に到着。ここから先の車窓は、復路で乗る臨時特急ニセコ号で堪能しようと思っていたのですが、良い景色なのでついつい見てしまいます。そして、内浦湾越しに駒ケ岳が見えたら八雲駅に到着。この駒ケ岳もニセコ号で堪能したかったのですが、こちらも、つい見入ってしまうという。次の森駅で内浦湾に別れを告げ、ここから先は亀田半島の基部、駒ケ岳の裾野を進み、車窓に大沼が見えると大沼公園駅に停車。発車後、今度はは反対側、右の車窓にちょっとの間小沼が見えます。

 大沼公園駅を発車後は、北海道新幹線との接続駅である新函館北斗駅、そして函館市内に入って五稜郭駅と、約10分毎に停車。そして五稜郭駅を出ると、約5分で終点の函館駅に到着。その案内放送が始まる際、何とも懐かしいチャイムの音が流れました。

【函館駅に到着した特急スーパー北斗2号】
函館駅に到着した特急スーパー北斗2号キハ281系気動車と733系1000番台電車との並び

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