たひお備忘録

とりとめのない趣味の、とりとめのない活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】

真岡鐵道・野岩鉄道・会津鉄道日帰り旅 ~鉄印帳の旅(1) 【令和2年7月17日】 その2

会津田島駅に停車中の会津若松行き普通列車

 前の記事に引き続きの、真岡鐵道、野岩鉄道、会津鉄道を巡る鉄印帳の旅の記録なのですが、今回はそのうち、改めての野岩鉄道と、続けて会津鉄道に乗って帰るまでを。


野岩鉄道再び、会津鉄道

【購入した乗車券】
購入した乗車券
【下今市駅構内の転車台と機関庫】
下今市駅構内の転車台と機関庫
【SL大樹用の14系客車と停車中の東武日光行き普通列車(6050系)】
SL大樹用の14系客車と停車中の東武日光行き普通列車(6050系)
【下今市駅の駅名標】
下今市駅の駅名標
【下今市駅に入ってくる東武日光行き普通列車(6000系リバイバル塗装)】
下今市駅に入ってくる東武日光行き普通列車(6000系リバイバル塗装)

 お腹を満たした後は下今市駅に戻って、鉄印帳の旅を再開。ですがその途中、ふとしたはずみに転んで、持っていたカメラは無事だったものの、肘と膝を地面にしたたか打ち付け、更には肘を擦りむいてしまったという。(それから一ヶ月近く経った今、この記事を書いているのですが、最近ようやく、ぶつけたところの痛みが取れてきました。)そして下今市駅に戻ったあとは、会津田島駅のでの乗車券を購入。そしてこれから乗る列車が入ってくるまで、駅構内で写真を撮るなどして。で、ここで、3・4番線ホームの売店に、駅弁が売られているのを発見。てっきり、SL大樹の運転日だけ販売だと思いこんでいたのですが。(さっきいただいたそばとカレー美味しかったからいいんですがね。)

【下今市駅に入ってくる会津田島行き普通列車】
下今市駅に入ってくる会津田島行き普通列車

 下今市駅から乗るのは、13時20分発の、東武鉄道鬼怒川線、野岩鉄道会津鬼怒川線、会津鉄道会津線直通の、会津田島行き普通列車。2両編成だと知り、早めに乗車位置に並ぶことにしました。それで発車の5分ほど前に入ってきたのは、先程も乗った6050系電車の2両編成。乗り込んだ2両目の車番はモハ6156で、調べたところ昭和39年(1964年)に種車を製造、昭和61年(1986年)に車体更新を行ったようで。

 早めに並んだのが功を奏して、ボックス席の進行方向左窓側に席を確保。というの鬼怒川線は結構な区間(新高徳駅-新藤原駅)、鬼怒川の渓谷を走るのですが、鬼怒川は常に進行方向左手にあるんですよね。それにしても、2両編成の車内は盛況で、各ボックス席に誰かしら座っている状態。グループ客も多く、乗り込んだ直後から、皆、連れとお喋りが盛り上がっているようで。で、嫌でも耳に入ってくる内容から、東京など首都圏から旅行できている人がかなり多い印象です。

【下今市駅-大谷向駅間】
下今市駅-大谷向駅間

 席に腰を落ち着けてからあまり待たずに発車時刻となり、列車は下今市駅を後に。で、発車直後から、相当ゆっくり走って大谷川を渡り、大谷向駅に停車。この鬼怒川線。元々は大正時代に、鬼怒川上流に発電所を建設する際の資材運搬用の軽便鉄道だったこともあり、カーブがとてもきつかったりするので、最高速度が低く抑えられているんですよね。

【大桑駅-新高徳駅間(小百川)】
大桑駅-新高徳駅間(小百川)
【大桑駅-新高徳駅間(鬼怒川)】
大桑駅-新高徳駅間(鬼怒川)

 大谷向駅では10分停車し、その間に特急きぬのスペーシアと交換してから発車。まだ左手に鬼怒川は現れませんが、替わりにそこら中に生えているニッコウキスゲというかカンゾウの類というかゼンテイカの類というか、とにかくユリっぽい薄オレンジ色した花(すみません。このあたり、全部「ニッコウキスゲ」と教えられて育ってしまったもので。)が、とてもきれいに見えますね。その後もゆっくり走りつつ大桑駅に停車し、次に鬼怒川に注ぐ小百(こびゃく)川を渡りますが、この鉄橋が明治時代に、日本鉄道常磐線(現在のJR常磐線)の鉄橋を転用して架けられた相当な年代物。そして鬼怒川を渡って、新高徳駅に停車しました。

【鬼怒川温泉駅-鬼怒川公園駅間】
鬼怒川温泉駅-鬼怒川公園駅間

 ここから先暫くは、左手に鬼怒川を見つつ進み、小佐越駅で普通列車と交換。次の東武ワールドスクエア駅を過ぎると、鬼怒川温泉のホテル群が車窓に広がるのですが、平成初期のバブル経済崩壊以降、廃業したホテルの建物がそのままになっていたりするなど、ちょっと重苦しい景色も。近年、東武鉄道を始めとするアクセスの改善や、SL大樹の運行、またインバウンド客の受け入れやリピーターの増加など、明るい話題も出てきたところで今回のコロナ禍というのが、何ともやりきれない思いです。ですが次の鬼怒川温泉駅では、これから温泉に向かうと思われる人も多く含む、車内にいた乗客の半分以上が下車。で、それにより先程よりグっと静かになった車内で目立つのが、缶チューハイ片手に大きな声を出して騒ぐ、首都圏から来たと思しき、いい歳をした男性グループ。気のおけない仲間との旅行で、更には「スーパーコンパニオン」などという単語が聞こえたので今夜の宴会に向け気持ちが高ぶるのも理解る、ものすごく理解るのですが、このご時世の中、(缶チューハイ飲むのに)マスクを外しっぱなしで大声出してはしゃぐのは、いかがなものかと。とりあえず換気のために、閉まっていた自席の窓を可能な限り開けました。

【新藤原駅に到着】
新藤原駅に到着

 そんな乗客に複雑な思いを抱きつつも列車は進み、次の鬼怒川公園駅で特急リバティ会津と交換。そしてその次は、下今市駅から約47分で、東武鉄道鬼怒川線の終点にして、野岩鉄道会津鬼怒川線の起点駅である新藤原駅に到着。これから乗り入れる野岩鉄道はSuica、PASMOなど交通系ICカードのエリア外となりカードでの乗り越し精算ができないので、停車時間中に処理するようアナウンスが繰り返しありました。そして4分の停車時間が過ぎて新藤原駅を発車した列車は、今回の旅の一番の目的といっていい、会津鬼怒川線へと。

 それでこれから乗る会津鬼怒川線ですが、終点となる会津高原尾瀬口駅の間30.7kmを結び、起点終点駅を含む駅数は9駅の、全線電化された単線の路線。

 元々は大正11年(1922年)に施行された鉄道敷設法によって、敷設予定線とされた現在の栃木県日光市(平成の大合併前は今市市)と、現在の福島県南会津郡南会津町田島を結ぶ建設予定線とされ、その後の昭和28年(1953年)、その一部である会津田島駅-会津滝ノ原駅が、国鉄会津線の一部として開業しました。

 そして昭和41年(1966年)、鉄道建設公団によって会津滝ノ原駅(現在の会津高原尾瀬口駅)から今市に向かって建設が開始された時、路線の名称を、起点終点の旧国名、下野と岩代から1字づつとって野岩線(やがんせん)に。余談ですが、これによってある一定以上の年代の一部栃木県民には、この路線のことを「やがんせん」で通じると思われます。(少なくとも私自身、開業前のだいぶ前から野岩線という言葉は知っていた。) 更に全くの余談ですが、この野岩線という路線名の付け方。下野国から一字取るなら「下」の字ではとも思うのですが、下野国の別称として「野州(やしゅう)」という言葉があり、それが現代にも残っていたりするんですよね。(宇都宮駅のホームにある「野州そば」とか。)また、岩代国の方も、「岩州(がんしゅう)」という別称があったそうで。

 と、少々話がそれましたが、当時の藤原町(工事認可の際の名称はは下野川治)から今市市までの区間を除き、トンネルや橋梁などの施設が一部完成していたものの、国鉄末期の昭和55年(1980年)に制定された日本国有鉄道経営再建促進特別措置法、いわゆる国鉄再建法に基づき建設が凍結されてしまいました。

 ですが同年、関係する栃木福島両県知事名で第三セクターによる運営を当時の運輸大臣に要望。その翌年の昭和56年(1981年)には野岩鉄道株式会社が設立。同年中には鉄道事業免許も取得し、それと前後して工事の認可も受けたのですが、その際、起点を国鉄今市駅ではなく東武鉄道新藤原駅になったようで。(会津滝ノ原駅で接続する国鉄会津線も国鉄再建法による第2次廃止対象路線になっていたことや、会津線が会津鉄道に転換されてから3年後という比較的早い時期に会津田島駅までの電化を行い、東武鉄道、野岩鉄道との直通運転を開始できたことも関係あるんですかね。)

 そして昭和61年(1986年)10月9日、新藤原駅-会津高原駅(元の会津滝ノ原駅で、現在の会津高原尾瀬口駅)間30.7kmの全線が開業し、同時に東武鉄道鬼怒川線との直通運転を開始。更に平成2年(1990年)からは会津鉄道会津線の会津高原駅-会津田島駅間電化に合わせ、会津鉄道との直通運転も開始されました。

 そんな会津鬼怒川線ですが、新藤原駅を出て程なく、最初のトンネルに突入。明治時代に始まった日本の鉄道建設ですが、先述の東武鬼怒川線のように比較的初期のものは、極力トンネルや鉄橋は避けるよう地形に沿って線路が敷設されていた(もっとも、東武鬼怒川線については、資材運搬用の軽便鉄道という理由も大きいと思われ。)のですが、それが時代が進むにつれ、トンネルや高架線を使って地形おかまいなしに直線的に敷設するようになりました。で、この会津鬼怒川線の建設開始は昭和41年(1966年)と鉄道路線としては新しく、更に山間部を通過する路線のため、トンネルがとても多いのが特徴になっているんですよね。(あと会津鬼怒川線については路線の規格が高いというのもありますが。)

 その最初のトンネルを抜けると、景勝地である龍王峡の最寄り駅、龍王峡駅に停車。ここはホームの後ろ半分がトンネルで、更に発車するとまた次のトンネルに入るという。個人的に会津鬼怒川線に初めて乗ったのは、確か昭和62年(1987年)の夏なのですが、その時はそれにとても驚いた覚えがあります。

【龍王峡駅-川治温泉駅間】
龍王峡駅-川治温泉駅間

 長めのトンネルを抜け、左手に鬼怒川の小網ダムが見えると、高架駅の川治温泉駅。発車して鬼怒川を渡ると今度は短いトンネルに入り、出たところでまた鬼怒川を渡るとここも高架駅となる川治湯元駅。この両駅の間の東側、ちょっと離れたところにに川治温泉郷があるのですが、降車した乗客はわずかでした。そしてまた長いトンネルに入って暫く走ると、トンネル内の駅である湯西川温泉駅に停車。ここも初めて乗った時は、トンネル駅の珍しさに驚きましたね。で、実はここから湯西川の温泉郷はクルマでないと行けない距離(15~20分ほど)にあるのですが、この駅が会津鬼怒川線の中間駅で一番乗車客があるというのが、失礼ながらちょっと以外な気がします。

【湯西川温泉駅-中三依温泉駅(五十里ダム)】
湯西川温泉駅-中三依温泉駅(五十里ダム)
【湯西川温泉駅-中三依温泉駅(男鹿川)】
湯西川温泉駅-中三依温泉駅(男鹿川)
【湯西川温泉駅-中三依温泉駅(中三依温泉駅手前)】
湯西川温泉駅-中三依温泉駅(中三依温泉駅手前)

 湯西川温泉駅を出るとすぐに、個人的に会津鬼怒川線で一番の見所だと思っている、五十里ダムの鉄橋を渡ります。そしてすぐにトンネルに入ったあと、途中で一瞬地上に出る時に渡るのが男鹿川。で、連続する2つのトンネルを抜けると、これまでの山間地を突っ切る感じから若干開けたところに出て、中三依温泉駅。ここで普通列車と交換しました。

【モハ6150形(モハ6156)のボックスシート】
モハ6150形(モハ6156)のボックスシート

 ここからはトンネルに潜りつつも地上を進む事が増え、上三依塩原温泉口駅に停車。「こっから塩原は遠かんべ。」と思ったものの、JRの那須塩原駅と比べれば、塩原温泉郷までの距離的は、だいぶ近いんですね。そして次の男鹿高原駅は会津鬼怒川線の中間駅で一番乗車客客が少なく、1日平均にすると1人を下回るそう。それは別として、この頃になると、下今市駅発車直後の賑わいが嘘のように、車内は閑散とした状態に。なのでボックスシートの写真など撮ってみたり。

【男鹿高原駅-会津高原尾瀬口駅間】
男鹿高原駅-会津高原尾瀬口駅間

 男鹿高原駅を出て暫く、山を抜けて荒海川が作った谷あいの集落に出れば、下今市駅から約1時間26分、新藤原駅から約36分で、会津鬼怒川線の終点にして、これから乗り入れる会津鉄道会津線の終点駅にもなっている、会津高原尾瀬口駅に到着。時刻は14時46分の定刻でした。また、車内に残っていた僅かな乗客が下車し、この車両では私以外の客がいなくなってしまいました。

 それでこれから乗る会津線ですが、西若松駅を起点にこの会津高原尾瀬口駅の間57.4kmを結ぶ路線で、起点終点駅を含む駅数は21駅。全線単線で、西若松駅-会津田島駅間42.0kmが非電化、会津田島駅-会津高原尾瀬口駅間の15.4kmが電化されています。

 で、この路線の成り立ちですが、元々は軽便鉄道法に基づく路線として、昭和2年(1927年)から昭和9年(1934年)にかけて、西若松駅-会津田島駅が開業。この当時から会津線と称したのですが、会津線の本線格は、大正15年(1926年)から昭和9年(1934年)にかけて開業した現在JR只見線となっている会津若松駅-会津柳津駅の区間で、現在の会津線は支線格だったそうです。

 そして太平洋戦争後の昭和22年(1947年)から昭和28年(1953年)にかけて、野岩鉄道会津鬼怒川線のところでも出てきた鉄道敷設法によって敷設予定線とされた会津田島駅-会津滝ノ原駅(現在の会津高原尾瀬口駅)が開業。昭和46年(1971年)の只見線全通によって会津線の区間は西若松駅-会津滝ノ原駅の間57.4kmとされました。

 昭和40年台初頭から昭和50年代後半にかけては、仙台駅から郡山駅、会津若松駅経由で会津田島駅まで直通の準急、後に急行列車が運転されていた時期もあったのですが、今回の旅というか、これからも鉄印帳の旅で何度も出てくることになる日本国有鉄道経営再建促進特別措置法、いわゆる国鉄再建法に基づき、第2次廃止対象路線として国が承認。その後JR東日本を経て、昭和62年(1987年)7月16日、前年に設立された第三セクターの会津鉄道に転換されました。

 会津鉄道への転換後は、開業時に上三寄駅を芦ノ牧温泉駅へなど複数の駅を、その後も平成18年(2006年)に会津高原駅を会津高原尾瀬口駅とする(ちなみに、会津滝ノ原駅から会津高原駅への改称は、国鉄時代の昭和61年(1986年)。)また昭和63年(1988年)に塔のへつり駅、平成7年(1995年)に南若松駅など、駅新設も積極的に実施。そして平成2年(1990年)、会津田島駅-会津高原駅間の電化が完成し、東武鉄道、野岩鉄道との直通運転を開始。東武鉄道の浅草駅からの直通列車も、一時休止を経て、平成29年(2017年)からは特急リバティ会津が運転されるようになりました。

【会津高原尾瀬口駅停車】
会津高原尾瀬口駅停車
【会津高原尾瀬口の駅名標】
会津高原尾瀬口の駅名標

 会津高原尾瀬口駅では、4分停車の間に会津鉄道のディーゼルカーと交換してから発車。時刻表を見たところ、喜多方発東武日光行きのAIZUマウントエクスプレスで、会津鉄道のディーゼルカーが電化している野岩鉄道と東武鉄道に結構な距離を乗り入れる運用になっていることに加え、ちょっと前じゃ考えられない運転区間だなぁ、と。

【会津高原尾瀬口駅-七ヶ岳登山口駅間(国道352号と国道121号の交差点付近)】
会津高原尾瀬口駅-七ヶ岳登山口駅間(国道352号と国道121号の交差点付近)

 会津線内に入ると、朝は雨、その後曇っていた空に、日が差してきました。そんな中、僅かな乗客を乗せた列車は、荒海川の作った谷底のさほど広くない平地を、国道352号、途中から国道121号と共に進みます。川沿いの地形に沿って走る東武鬼怒川線、山を貫いて走る野岩鉄道とは相当違いがありますが、地形の違いに加えて建設時期も違う(先述のとおり鉄道って、建設時期が新しければ新しいほど、トンネルと高架線が多くなるんですよね。)、それらを短時間に体感できる東武鉄道鬼怒川線~野岩鉄道~会津鉄道の直通列車は、とても面白みがあるなぁ、と。

【会津山村道場駅-会津荒海駅間】
会津山村道場駅-会津荒海駅間
【会津荒海駅に入ってくる浅草行き特急リバティ会津】
会津荒海駅に入ってくる浅草行き特急リバティ会津

 七ヶ岳登山口駅のあたりから、進行方向左手奥に流れている川の名前が荒海川から、一級河川に指定された阿賀川に変わります。それでこの阿賀川が、新潟県に入ると阿賀野川と名前を変え、河口部では相当な大河となって海に注ぐのですが、このあたりではまだその面影はなく。もっとも、この会津線が走る谷あいの決して広くない耕地は、この阿賀川がもたらしたものなんですがね。そんなのどかな風景を眺めつつ、列車は会津山村道場駅、会津荒海駅と停車。会津荒海駅では8分停車する間に、特急リバティ会津140号と交換。それを写真に収めるべくホームに出た際、前の車両を通ったのですが、こちらにも乗客は1人しか乗っていませんでした。

【中荒井駅-会津田島駅間】
中荒井駅-会津田島駅間

 会津荒海駅を出たあたりからでしょうか、列車が走っている谷あいの平地がちょっと広くなった印象。次の中荒井駅を出るとそれがさらに広くなって、列車は右にカーブしつつ国道121号とぶつかる国道289号を跨道橋で跨ぎます。先程の国道352号とやこの国道289号との交差点は、実は会津線に乗った回数の何倍もクルマで走っている国道121号でよく覚えている箇所。そして車窓から街の雰囲気がすれば、定刻の15時16分、この列車の終点の芦津田島駅に到着。東武鉄道の下今市駅から約1時間56分、野岩鉄道の新藤原駅から約1時間5分、会津鉄道の会津高原尾瀬口駅から約26分かかりましたが、改めて、それぞれの鉄道会社ごとの車窓から見える景色の違いが際立っていた区間だったな、と。もし次に乗る機会があれば、特急リバティ会津で、一気に走り抜けてみたいですね。

【会津田島駅の駅名標】
会津田島駅の駅名標

【会津鉄道の鉄印】
会津鉄道の鉄印

 会津田島駅で列車を降りた後は、乗り継ぎ時間を利用して、まずは次に乗る列車の会津若松までの乗車券購入と、お目当ての鉄印を貰いに窓口まで。記帳料300円と、既に印刷されたものを手渡されるタイプと同じだったのですが、社章と車両正面のスタンプ、そして角印のほかは手書きだったもよう。なのでちょっとだけ時間がかったものの、墨が移らないようにわざわざティッシュまで挟んでくれた心遣いが嬉しくて、記念きっぷなどちょっとだけですが一緒に購入させていただきました。

【会津田島駅の駅舎】
会津田島駅の駅舎
【駅構内にあった日本酒の自動販売機】
駅構内にあった日本酒の自動販売機

 その後は駅舎を写真に収めて待合室に戻ったところ、日本酒の自動販売機を発見。併設の売店で買う専用のコインを投入すると、プラカップにワンショット注がれるタイプで、ここで試飲して良ければ売店でその銘柄のボトルが購入できるようになっています。で、「今月のおすすめ」と書かれた銘柄を購入したところで、次に乗る列車の改札が開始に。ここでその銘柄のボトルと、売店で売られていたいかにも手作りな食べ物を買っておけばとこの暫く後に悔やんだのですが、この時は慌てて、プラカップを持ったまま改札口を通ってしまいました。

【会津田島駅に停車中の会津若松行き普通列車】
会津田島駅に停車中の会津若松行き普通列車

 会津田島駅から乗るのは、15時40分発の会津若松行き普通列車。構内踏切を渡った3番線ホームに既にちょこんと停車していたのは、会津鉄道線内の優等列車「AIZUマウントエクスプレス」にも使われる、AT-700形気動車(ディーゼルカー)でした。AIZUマウントエクスプレスは、平成14年(2002年)の運転開始当初より、名古屋鉄道から購入した特急北アルプス用のキハ8500系気動車を使用していたのですが、その置換え用として平成22年(2010年)に登場したのがAT-700形で、トイレなしのAT-701、トイレ付きのAT-751、AT-752の3両が在籍しているうち、これはAT-751でした。更に先頭部には「AT-700形運行開始10周年」のヘッドマークまで付いていたという。

【AT-700形(AT-751)の車内】
AT-700形(AT-751)の車内

 その車内は、東武鉄道の特急列車から乗り換えても遜色ないようにと回転式のリクライニングシートが奢られており、これに料金不要で乗れるなんて、会津鉄道さんはなんと太っ腹なんでしょうか。

【会津田島駅構内に留置中のAT-100形気動車(AT-103)】
会津田島駅構内に留置中のAT-100形気動車(AT-103)

 発車までまだ多少時間があったので、席に荷物を置き、これから乗る列車や駅構内の車両基地の写真を少々。その車両基地には、会津鉄道開業時の昭和62年(1987年)に導入され、平成22年(2010年)に座敷列車に改造されてから平成28年(2016)年まで使用されたAT-100形気動車(AT-103)が留め置かれていました。

 進行方向左側の席に落ち着き、他に10人程の乗客が乗り込むと、定刻となり発車。この列車はワンマン運転で、自動放送の案内音声が流れます。車内はいずれも同好の士という感じの客が多かったのですが、次の田島高校前駅で、下校する高校生を追加。昔、下校時の高校生が多く乗る列車は相当賑やかだった記憶があるのですが、イマドキは皆おとなしいというか、乗ってきた時は一緒でも、着席はバラバラ。そして着席するとスマートフォンを取り出すというおなじみの光景。

【養鱒公園駅-ふるさと公園駅間】
養鱒公園駅-ふるさと公園駅間

 列車は相変わらず、阿賀川が作った谷間の平地を走行。というか、会津田島駅の手前からこの先の暫くは、その平地がだいぶ広くなっているのが地図でわかります。そんな中、会津長野駅の次は養鱒公園駅、更にその次はふるさと公園駅と、「公園」の付く駅が連続。まず養鱒公園は、名前のとおりマスの養魚場を中心とした観光施設駅というのが珍しく感じます。ただし、駅から約2kmと、歩くにはちょっと離れていますが。そして次のふるさと公園駅は、会津下郷町のスポーツ・文化複合施設、大川ふるさと公園の最寄り駅。ここで数人下車しました。

【ふるさと公園駅-会津下郷駅間】
ふるさと公園駅-会津下郷駅間
【塔のへつり駅-湯野上温泉駅間】
塔のへつり駅-湯野上温泉駅間

 阿賀川を渡り、進行方向左側の車窓に山肌が迫ると会津下郷駅に停車。高校生が数名降りて小学生が数名乗るという感じで。またここでは停車時間は短くとも、普通列車と交換しました。そしてここから先は谷が狭まっていく感があり、弥五島駅で小学生数名と高校生下車させたあと、山あいに分け入る感じに。次の塔のへつり駅は、阿賀川の浸蝕と風化がもたらした奇景で国の天然記念物になっている名勝「塔のへつり」の最寄り駅。車窓からは見えませんが、むかし来た時、川岸が崖状になったところを歩ける、面白く興味深い場所だった記憶があります。その、塔のへつり駅を出ると再び阿賀川を渡りますが、先程渡った時と比べ、川幅がぐっと狭まっていますね。

【湯野上温泉駅-芦ノ牧温泉南駅間(対岸に廃線跡のトンネルが見えます)】
湯野上温泉駅-芦ノ牧温泉南駅間(対岸に廃線跡のトンネルが見えます)

 その先、湯野上温泉駅を出た後は、昭和55年(1980年)に、阿賀川への大川ダム建設のため、約5.8kmを新線に切り替えられた区間に。それ以前は阿賀川の渓谷に沿って走る会津線随一の風光明媚な区間だったものの、新線は大川ダム建設によって出来た若郷湖の脇を、トンネルで一気に(新線切替あるあるですが)抜けるようになっています。それでまずは、この区間で一番長い全長2838mの大戸トンネル、そして一瞬地上に出て桑原トンネルを抜け、芦ノ牧温泉南駅に。その際に撮った写真を後で見ていたところ、対岸に配線になったトンネル口が見えました。そして芦ノ牧温泉南駅を発車すると程なく向山トンネルに入り、出たところが大川ダム公園駅。この駅の少し先で、元々の路線と合流します。

【芦ノ牧温泉駅-あまや駅間】
芦ノ牧温泉駅-あまや駅間

 大川ダム公園駅を発車した列車は、長らく続いた山あいの区間を抜け、久しぶりに水田が車窓に現れると、会津田島駅を出てから初めてATSのジリリリというベル音、チンコンチンコンというチャイム音が聞こえ、猫の駅長や、行列のできるラーメン店で有名な芦ノ牧温泉駅に到着。ここから先は、会津盆地に入るため車窓がどんどん開けていき、あまや駅に到着。

【門田駅に入ってくる会津田島行きリレー号】
門田駅に入ってくる会津田島行きリレー号
【西若松駅の駅名標】
西若松駅の駅名標

 あまや駅の次の門田駅は、再びATSを鳴らして停車。ここで会津田島行きのリレー号と交換するのですが、そのリレー号が遅れたため、こちらも2分遅れて発車。そのリレー号の写真を撮る際に車内を後方の自席ら最前部まで歩いたところ、乗客は6,7人といったところでしょうか。そして次の南若松駅では降車客より乗車客が多く、ここから先は会津若松市の市街地に入る感じとなり、左手からJRの只見線が合流すると、会津鉄道の起点駅となる西若松駅に、時刻は定刻の16時45分より若干遅れて到着。

【会津鉄道の本社】
会津鉄道の本社

 ダイヤよりも短めの停車時間で発車した列車は、只見線を走行。西若松駅を出たあたりで、会津鉄道の本社が見えました。次の七日町駅でも停車時間を短くして遅れを取り戻したのか、列車終点の会津若松駅に到着したのは、定刻の16時53分。会津田島駅から約1時間13分の旅でした。

 これで今回の目的は達成したので、あとは栃木の自宅へと帰るだけ。

 会津若松駅では、7分の乗り換え時間を利用して、次に乗る列車の指定席券を購入。加えて、弁当などの食料を購入したかったのですが、見当たらなかったので、駅構内のニューデイズで、缶ビールと地酒のワンカップ、そしてツマミ類を大急ぎで購入。ちょうどお腹が空いてきており、先程乗り換えた会津田島駅で仕入れておけばと後悔しました。

【会津若松駅に停車中の快速あいづ6号】
会津若松駅に停車中の快速あいづ6号

 それでSuicaを使って再び入場して乗る次の列車は、17時10分発郡山行きの快速あいづ6号。既に1番線ホームに停車中のE721形4両編成で、先頭車には立派なヘッドマーク(会津若松市立第一中学校美術部の皆様がデザインしたとのこと。)が付いていました。で、「あいづ」と言えば、個人的には上野駅-会津若松駅間を走っていた特急列車を思い出す(先頭車がクロ481の9両編成が一番覚えているなぁ。学校帰りに眺めるのにちょうどいい時間に走っていたっけ。)のですが、今年(令和2年)3月のダイヤ改正で、郡山駅-会津若松駅間の快速列車に指定席が設定されるのに伴い、その愛称が復活したようで。

【クハ720-12の指定席区画】
クハ720-12の指定席区画
【クハ720-12の指定席シート】
クハ720-12の指定席シート

 その指定席車両は、指定席設定に先立って1両のみ改造されたクハ720-12という車両。郡山方先頭車後位のドア間が指定席区画になっていて、個人的によく乗っている湘南新宿ラインや上野東京ラインのグリーン車よりも良さそうなリクライニングシートが14脚(2人掛けが片側3列×2とと1人掛けが片側1列×2)並んでいます。切符で指定された席は、磐梯山がよく見える進行方向左側だったものの、最前列の足元がちょっと狭い席。

【磐梯町駅-翁島駅間】
磐梯町駅-翁島駅間

 列車は定刻に会津若松駅を発車。暫くすると、左手に磐梯山の雄大な姿が見え、それをつまみに先程買ったお酒を少々。それにしても、私が子供の頃(昭和50年代)は、列車に乗るとワンカップを開けているオッサンをよく見かけたのですが、自分がそうする年代になった頃には、めっきりいなくなってしまったなぁ、と。そして、そのお酒が回ってきた頃というか、2つ目の停車駅である猪苗代駅を発車した後、車内検札が。東北新幹線などでは省略されてしまった車内検札ですが、やっていただいたほうが個人的には安心感があるんですがね。ちなみに、この時点での指定席の乗客は4人でした。

【郡山駅に停車中の新白河行き普通列車】
郡山駅に停車中の新白河行き普通列車

 その後、日が落ちようとする磐越西線を列車は快調に飛ばして、定刻の18時15分、郡山駅に到着。乗り換え時間が8分あった郡山駅で、コンコースの駅弁屋さんを覗くも、ちょうど店じまいの最中でした。もっとも、郡山駅から乗り換えた18時23分発の新白河行き普通列車の車両は、701系1000番代というロングシートの通勤型電車だったので、もし駅弁(と酒)を買えたとしても、その車内で広げるわけにはいかなかったのですが。

【新白河駅に停車中の黒磯行き普通列車】
新白河駅に停車中の黒磯行き普通列車

 郡山駅から駅ごとに少なくなる仕事帰りの人たちなどと共に電車に揺られること約40分で、列車終点の新白河駅に到着。東北本線の概ね宇都宮以北と郡山以南の普通列車は、平成30年(2018年)1月まで、東京寄りの直流電化と青森寄りの交流電化の切替駅である黒磯駅で運転系統が分かれていたのですが、同月にその直流と交流の切替方法が変更(このあたり長くなるので詳しくは省略します。)されたことに伴い、黒磯駅以南、黒磯駅-新白河駅、新白河駅以北という感じで運転系統が別れました。で、それ以降、黒磯駅と新白河駅の間に運転されているのが、今朝水戸線でも乗った、E531系電車の5両編成。全列車ワンマン運転となっています。

 で、直流交流の切替方法が変わってからこの区間に乗るのが初めてだったので、多少の期待はあったものの、新白河駅の乗換方法が面白かった(同一平面というか実質同一ホーム上で、左右ではなく前後に乗り換える感じ。)ものの、車両は今朝も乗ったし外は真っ暗だし、おまけにお腹が空いてどうしようもなくなってくるしで。

【黒磯駅に停車中の宇都宮行き普通列車】
黒磯駅に停車中の宇都宮行き普通列車

 そんな微妙な心持ちで、ガラガラの車内で過ごすこと約23分で、黒磯駅に到着。ここの乗換はかつてと同じ、4・5番線ホームの東京より先端部に設けられた長い跨線橋を通ってという感じで。最後に乗るべき20時ちょうど発の宇都宮行き普通列車は、既に1番線に停車していました。

旅程等

旅程 ※便宜上宇都宮駅発着としています

宇 都 宮
 06:22
  |JR宇都宮線
  |528M
  |普通
 06:54
小  山
 07:07
  |JR水戸線
  |729M
  |普通
 07:28
下  館
 07:31
  |真岡鐵道真岡線
  |107
  |普通
 08:39
茂  木
 08:52
  |真岡鐵道真岡線
  |114
  |普通
 09:36
真  岡
 09:44
  |真岡鐵道真岡線
  |114
  |普通
 10:09
下  館
 10:32
  |JR水戸線
  |1742M
  |普通
 10:54 
小  山
 11:02
  |JR両毛線
  |448M
  |普通
 11:12
栃  木
 11:24
  |東武日光線
  |51
  |区間急行
 12:25
下 今 市
 13:20
  |東武鬼怒川線
  |315
  |普通
 15:16
会津田島
 15:40
  |会津鉄道会津線
  |2318D
  |普通
 16:53
会津若松
 17:10
  |JR磐越西線
  |3240M
  |快速あいづ6号
 18:15
郡  山
 18:23
  |JR東北本線
  |2154M
  |普通
 19:03
新 白 河
 19:20
  |JR東北本線
  |4148M
  |普通
 19:43
黒  磯
 20:00
  |JR東北本線
  |682M
  |普通
 20:52
宇 都 宮

運賃等 ※便宜上宇都宮駅発着としています

JR 運賃 宇都宮-下館(IC) 858円
真岡鐵道 運賃 下館-茂木 1050円
真岡鐵道 運賃 茂木-真岡 780円
真岡鐵道 運賃 真岡-下館 560円
JR 運賃 下館-栃木(IC) 506円
東武鉄道 運賃 栃木-下今市(IC) 597円
東武鉄道 運賃 下今市-新藤原 320円
野岩鉄道 運賃 新藤原-龍王峡 200円
野岩鉄道 運賃 新藤原-会津高原尾瀬口 1090円
会津鉄道 運賃 会津高原尾瀬口-会津田島 630円
会津鉄道 運賃 会津田島-西若松 1500円
JR 運賃 西若松-会津若松 190円
JR 運賃 会津若松-宇都宮 3410円
JR 指定席 あいづ6号 530円
(小計 12221円)
鉄印帳 2200円
鉄印帳記帳料 新藤原駅 300円
鉄印帳記帳料 真岡駅 300円
鉄印帳記帳料 会津田島駅 300円
(小計 3100円)
(合計 15321円)

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

このブログの管理人

HN:
馬 たひお (@uma_tahio)
性別:
男性
趣味:
このブログのとおり
自己紹介:
栃木県のちょいと北の方に住んでいるアラフィフのオッサン。
ラーメン・そば・うどんなどの食べ歩き、乗り鉄、競馬の旅打ち、モータースポーツ観戦、PC自作など嗜んでいます。

【ご注意】 このブログに記載された情報は訪問当時のもので、現在のものとは異なる場合があります。あしからずご了承ください。

ツイッター

ブログ内検索

カレンダー

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 3 5
7 9 11 13
15 17 19
21 23 25 26 27
28 29 30

アーカイブ

忍者ツールズアクセス解析