たひお備忘録

趣味の活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】

那須国造碑 (笠石神社) 【平成25年2月16日】

笠石神社入口にある那須国造碑の石碑

 東北の一泊旅行から帰った翌週末の事。以前記事にしたように、件の旅行で宮城県多賀城市にある多賀城に寄ったのですが、そこには、日本三古碑の一つである多賀城碑が。で、その日本三古碑ですが、そのうちのもう一つが、自宅からクルマで1時間ほどのところに有ったんですね。

那須国造碑について

 那須国造碑(なすのくにのみやつこのひ)は、栃木県大田原市(旧湯津上村)にある国宝(昭和27年指定)で、先週見てきた多賀城碑と同じく日本三古碑の一つにも数えられる、飛鳥時代の石碑。碑身の上に笠石が載るという珍しい形状で、その為「笠石さま」とも呼ばれているとの事。

 で、「なすのくにのみやつこのひ」って名前を聞いただけだとピンと来ないというか、それって何?って正直思ったのですが、まず、「那須」は那須国を表し、現在の栃木県北東部の事。ちなみに、那須国の『国』は律令制による令制国が定められる以前の『国』の事だそうで、更に、令制国が成立したのは大化の改新のあった大化元年(645年)から大宝律令が定められた大宝元年(701年)の間だと考えられているそうです。次に、「国造(くにのみやつこ)」は、その国を治める官職というか支配者の事で、国主(くにぬし)と言われた当地の有力豪族が朝廷に帰順して任命され、軍事権、裁判権など広い範囲で自治権を認められたそうで。(ただし、国造は1人ではなく複数人居たケースもあったらしい。)ちなみに、任命される際、朝廷より姓(かばね)が贈られるのですが、那須国造は「直(あたい)」という姓だそう。そんなわけで、分解するとこんな感じなのですが、何せ古代の事なので、ハッキリとは判っていない事も多く、ここまで調べて、「ふーん。県知事、いや、アメリカの州知事みたいなモノか。」なんて思ってしまった自分がいたりして…。

 と、碑の名前だけで結構なボリュームになってしまったのですが、石碑自体には、飛鳥浄御原宮により追大壱(=冠位。685年制定の冠位四十八階のうち33位。)にあげられ、更には永昌元年(689年。ちなみに、日本の元号は686年に天武天皇の崩御により701年の大宝まで停止されていたそうで、代わりに唐の元号である永昌を使用。また、何故唐の元号を使用したかについても理由があるそうなのですが、ここでは割愛。)に評督との官職を下賜された那須国造である直(あたい)葦提(いで)は庚子の年(700年)に亡くなってしまったのですが、その遺徳を称える為、その息子である意斯麻呂(おしまろ)等が碑を建立しました的な事(すみません。かなりざっくりと略しました。)が、19字×8行=152字に六朝風の書体で彫られていて、その書体というか字は、書道史的にも貴重な物だそう。

 そして時が経ち、延宝4年(1676年)。僧侶円順が湯津上村を通りがかった際、里の人が近寄ると怪我をしたり、馬をつなぐと足をくじいたり、血をはいたりするといわれる不思議な石があるあるという話を聞きつけ、これを馬頭村の大金重貞という里正(庄屋)に話したところ、それが領主である徳川光圀のもとに届き、調査のため佐々宗淳(水戸黄門の助さんのモデル)を派遣。その結果不思議な石は石碑(草むらに碑面を下にして倒れていたらしいです。お陰で碑文が守られたとか。)で大変貴重な物と判ったので、光圀は宗淳に命じて石碑を収めるお堂を元禄4年(1691年)に建立させ、それが那須国造碑をご神体とした笠石神社となったそうです。

実際に行ってみた

 自宅から、途中で寄り道しつつクルマで1時間ちょっと走って到着。

【笠石神社入り口】
笠石神社入り口
 こちらが、那須国造碑が祀られている笠石神社。

【入口の所にある那須国造碑の説明看板】
入口の所にある那須国造碑の説明看板
 神社の入口には、那須国造碑についての説明が書いてある看板が。

 で、那須国造碑自体はご神体として施錠されたお堂に納められているので、直接拝見するには、向かって右手にある宮司さんの家に行き、拝観料(500円)を納める必要があるのですが、その際、那須国造碑について詳しい説明をしていただけます。そして説明後、那須国造碑とご対面となるのですが、ご神体という事で撮影は禁止。ですが、実際に目の当たりにすると、個人的には、畏れ多いというか、写真に写そうなどという気は全く無くなったというか。

感想とかまとめとか

 ご神体として祀られている為か、とても神々しかったですねぇ。また、ご対面する前の説明が解りやすかったのですが、寒い中で説明してくださった奥様(宮司さんは不在でした)、ありがとうございました。それにしても、水戸光圀公は大変な歴史マニアというか、古いものの価値を理解し、保護してくださったお陰で、今もこうやって見られるというのは大変有り難い事です。

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