趣味の活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】
栃木の田舎で生まれ育った御年五十ん歳の私にとって、ドジョウというのは夏場のスタミナ食というか、実家は農家ではなかったのですが、夏になると時々、知り合いの農家さんなどから貰ったり、近所のスーパーで買った、生きたドジョウがお勝手の片隅に置かれたプラスチックの樽に入れられていて、それが然る後(泥抜き後?)、調理されて食卓に出てくるという感じでした。
で、それがわりと普通の事だと思っていたのですが、当地ローカルというか、我が家ローカルだと知ったのは大人になってから。その頃には、スーパーでドジョウを売っているのを見かけることもなく。
ちなみに、(実家の)食卓に上がる回数が一番多かったのが、ナスと共に煮た味噌汁で、次がささがきゴボウと共に割下で煮て卵とじにした柳川鍋。(っていうか、ほぼその2択。)他に、川魚料理の店などでも唐揚げなども食べた記憶がありますが、どれも田舎料理の域を出ないものだったような。
そんなわけなので、東京の、ドジョウを「どぜう」と書くようなお店に憧れがあったというか、一度いただいてみたいと思っていたものの、なかなか機会が無く、この歳になって今回ようやく。2月の某土曜日に、相方と浅草周辺に行く機会があったので、浅草駅からわりと近いところにある、超有名店であるこちらのお店でいただくことにしました。
ちょうど開店時刻の頃にお店に着いたところ、既に何組かがお店に入るところ。
その後に続いて入店したところ、さすがは(良い意味で)有名店といった感じの接客で迎えられ、1階の「入れ込み座敷」へと案内してもらうことに。この、いかにも江戸情緒な広々とした座敷でいただくことも、こちらのお店にお伺いした目的の一つだったりします。
そこで、まずは以下の品々をお願い。
【どぜうなべ 1850円(税抜)】
【さきなべ 1900円(税抜)】
【薬味のネギと、ささがきごぼう 450円(税抜)、ご飯 350円(税抜)】
【ふり袖 たれ口 しぼりたて新酒 1300円(税抜)】
程なくすると、ドジョウが丸のまま入ったどぜうなべと、骨を取った状態で開きになって入っているさきなべは、浅い鉄鍋に割下と共炭でクツクツと煮立っている状態で登場。あとは、追加投入分の割下と薬味のネギがたっぷりと付く他、別料金で追加したささがきごぼう、主に相方がいただくためのご飯と私の日本酒が続々と運ばれてきます。
で、様子を見て割下を継ぎ足しながら、ゴボウを鍋に適宜投入しつつ、頃合いを見てネギを載せ、そこに七味(「なないろ」と読む)や山椒を振りかけていただきます。
それでまずはどぜうなべですが、ドジョウはとても立派なサイズで本来なら骨が硬い(実家では身を歯でしごいて食べていた)のですが、下拵えとして味噌で骨が柔らかくなるまで煮込まれ、苦も無く丸ごといただける柔らかさ。丸のままだからドジョウの味が濃厚だし、内臓?のほろ苦さが良いアクセントになっていますね。そこに出汁の効いた割下と、ネギのピリッとした香りと辛味が相まって、これが、もう。また、追加したゴボウもベストマッチ。七味や山椒との相性も言わずもがなです。
またさきなべは、ドジョウの身のみを使っているため、どぜうなべよりも上品な味わい。ドジョウを食べるのがほとんど初めてという相方は、こちらの方が食べやすいとのことでした。
そしてこれらの鍋をつつきつついただく酒が、また。味の濃いドジョウと日本酒の味が口の中で味が調和して、後口がスっと。なので鍋、酒、鍋、酒とエンドレスにいけそうです。ちなみに今回は、こちらのお店のレギュラーメニューである日本酒、ふり袖たれ口の新酒があったのでお願いしたのですが、新酒のフレッシュ感がことさら良いですね。それとこの日は2月にしては暖かい日だったので、キンと冷えた冷酒有り難かったです。
そんなこんなで鍋をあらかた食べ終わる頃、どじょう汁を追加注文。相方が食べてもまだ1杯分以上残っていたご飯のお供にしようかと。
で、このどぜう汁。汁の口当たりはトロっとしていて、江戸甘味噌がメインという味付けは、濃厚というかこっくりというか。そして丸のまま入るドジョウは、どぜうなべ同様の柔らかさ。これだけで、ご飯のおかずになる汁でした。
自宅でかつて食べていたドジョウの味噌汁は、歯でドジョウの身をしごき取りながら食べていたし、味付けも甘味がないサラっとしたものだったので、それとは全く別物(それはそれで美味しいし好きだったんですがね。)ですが、これはこれで良いですね。
というわけで、どれも美味しくいただいたのはもちろん、憧れだった「どぜう」をようやく味わうことが出来て感無量だったのですが、お昼時だったのと、この後の予定があったので、最低限のオーダーでササっと済ませてしまったのが少々心残り。
なのでまた是非とも機会を作って、今度はもっとゆっくり「どぜう」を味わいたいと思います。
ごちそうさまでした。
令和3年2月訪問
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