趣味の活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】
「全日本選手権」は掛かっていないものの、日本の4輪レースのなかでも国内の主要なサーキットを転戦し、実質的にトップカテゴリーのひとつとなっているスーパー耐久。
個人的にも好きなレースで、普段、レース当日は無料のYouTubeライブ中継を楽しませていただいているのですが、今回、2018年のスポーツランドSUGO以来の現地観戦をすることができました。
それで今回の記事は、サーキットでどう過ごしたかということはもちろん、個人的なおさらいも兼ねて、スーパー耐久シリーズとはなんぞやとか、参加車両のこととかも書いていこうかな、と。
スーパー耐久について一口で言い表すのは難しいのですが、ものすごくざっくり言うと、市販車改造車もしくは市販レーシングカーによる耐久レース。
それをもう少し細かく言うと、その出自や排気量、駆動方式によって8つにクラス分けされた車両を使い、2~4名のプロアマ混合のドライバーが交替で走る、走行距離500kmもしくは3~24時間の走行時間(今回のもてぎは5時間)で行われるレース、ということになるのですが、個人的に、何故こんなにも面白くこのスーパー耐久というレースを観ているのかというのも、このクルマ、ドライバーを含む参加者(エントラント)、そして長時間に渡るレースということに集約されるのかな、と。
まずクルマについては、バラエティーに富んだ参加車種、そして参加台数の多さが魅力となるのですが、それについてはクラス分けを含めて後述。
次にドライバーを含むエントラントについてですが、上位クラスでは参加できるドライバーに実績による制限が設けられるものの、現在もSUPER GTなど他のカテゴリーでバリバリ活躍中のドライバーが参戦していることに加え、元はF1や国内トップカテゴリーのレースでトップ争いをしていたようなレジェンド級のドライバーなど、私のように無駄に歴だけ長いレースファンにとってはたまらない人たちが走っているというのが嬉しいところ。また、複数ドライバーのプロアマ混合というのがミソで、速いプロドライバーがいるだけでは勝てないようになっているというのも、レースを面白くする一因になっているかと。更にはエントラントについても、メーカーが大きな資本を投下したいわゆるワークスチームはなく、自動車アフターマーケットパーツメーカーのチーム、メカニック養成のために参戦する自動車ディーラーのチームなどアマチュアも多く、そこに昔ながらの「レース屋」も加わって様々。
そして、レース距離や時間の長さについてですが、有名なル・マン24時間レースの例を出すまでもなく、長丁場になればなるほど、単純なクルマの速さだけではない、レース戦略であるとか、ピットワークであるとかの、コース以外での争いも重要になってきますし、それによってドラマが起きやすくなるんですよね。もっとも私なんかだと、好きなレースを長時間観ていられるというだけで、嬉しくなってしまうのですが。
あとは、レースを、シリーズをよりコンペティティブにさせるため、レース距離に応じてポイントが変動したり(例えば、同じ優勝でも24時間レースでは45点、今回のもてぎのような5時間レースでは30点、3時間レースだと20点)、過去3戦の成績に基づいたウェイトハンデが課されたり、またプライベーターチームも対等に戦えるようピット作業の人数制限などのルールもあるのですが、全部書き出すときりがないので、興味のある方は「スーパー耐久 競技規則」で検索していただくと、競技規則が出てくると思います。
スーパー耐久に参加する車両は、大きく分けると、FIA(国際自動車連盟)のもとSRO(ステファン・ラテル・オーガニゼーション・モータースポーツグループ) で運用が行われているGT規定に基づく車両、FIAのもとWSC(世界スポーツコンサルティング)で運用が行われているツーリングカー規定に基づく車両、JAF(日本自動車連盟)に競技車両として公認もしくは登録されるかSTO(スーパー耐久機構)に特別に認定(特認)された車種を規定に従い改造した車両となりますが、更にそれらが、先述のとおり8つのクラスに分けられています。
それらを個々に説明していくと相当なボリュームになってしまうのでざっくり言うと、FIA GT車両やTCR車両は、各自動車メーカーが自社のクルマをベースに、レディーメイドのレーシングカーとして市販している車両。基本的には購入した状態でそのまま使うことが求められます。
一方、JAF公認・登録車両、STO特認車両は、市販車を許される範囲でレーシングカーに改造する車両ですが、改造範囲は極めて限られ、エンジン本体はパワーアッブにつながるような改造をすることが出来ず、吸気系、排気系の一部は純正品にレースのための最低限の加工を行なったもののみ使用可。足回りはダンパー、スプリング、スタビライザー、ブッシュ、ブレーキのみ交換可。ただし、車体については安全性の観点からロールケージの装着が義務付けられる他、スポット溶接などの補強も一定範囲で認められ、エアロパーツは市販品(ただし著しく高価なものを除く)の装着が許されています。
ちなみに8つのクラス名を、直近に行われた第3戦岡山の予選結果最上位順に並べると、ST-X、ST-Z、ST-1、ST-TCR、ST-3、ST-2、ST-4、ST-5という具合になるのですが、今回のもてぎのエントリーリスト(と撮った写真)をもとに、各クラスごとの台数と車種、個人的な見どころなんかも備忘録的に。
ST-Xクラスは、FIAとSROによるグループGT3規格の車両で争われるクラスかつ、総合優勝争いをする現在のスーパー耐久で最も速いクラス。
GTワールドチャレンジなどGTレースでは世界的に主流となっている規格(余談ですが、2020年まで車両規定がSUPER GTと同じClass1だったDTMドイツツーリングカー選手権も、2021年からグループGT3になっちゃいましたね。)で、SROによってBoP(バランス・オブ・パフォーマンス。性能調整のこと。)が行われ各車種間の性能が均衡するようになっています。
国内だとSUPER GTのGT300クラスにも出走が可能ですが、同一車両でのSUPER GTとスーパー耐久の掛け持ち参戦は禁止。
また、ドライバーにも規定があり、登録するA~Dドライバー(最低2名で4名まで可)のうち、AドライバーはSTOが認めた満40歳以上のアマチュア、もしくは60歳以上の全ドライバー、いわゆるジェントルマンドライバーにしなくてはならず、ジェントルマンドライバーには最低周回数もしくは運転時間数があります。一方、F1や国内トップフォーミュラ、SUPER GTのGT500クラス経験者はプラチナドライバーとされ、各チーム1名のみ登録が可能ですが、レース距離の40%までしか走ることは出来ません。
【日産 GT-R】
【レクサス RC F】
【アストンマーチン ヴァンテージ】
【メルセデス AMG GT】
もてぎでは5台がエントリーし、内訳は、日産 GT-Rが2台、レクサス RC Fが1台、アストンマーチン ヴァンテージが1台、メルセデス AMG GTが1台となっています。
で、参加台数は少ないですが、何といっても総合優勝がかかるクラスですし、ジェントルマンドライバーも含めた各チームのレベルが拮抗しているのも魅力です。
ST-Zクラスは、FIAとSROによる、グループGT4規格の車両で争われるクラス。
グループGT4はグループGT3よりもアマチュア向けの規格で、グループGT3と比べると、ベース車両からの変更点が少なくなっています。また、グループGT3同様、BoPによる調整もあり。ジェントルマンドライバー、プラチナドライバー規定もST-Xクラスと同様です。
開設当初はエントラントがあまり集まらなかったようですが、現在は日本国内数少ないグループGT4規格行われるレースとあって、ST-Xクラスよりも参戦台数が多いです。
【KTM X-BOW】
【メルセデス AMG GT】
【ポルシェ ケイマン】
【BMW M4】
【アストンマーチン ヴァンテージ】
【アウディ R8】
もてぎは10台がエントリーし、内訳は、KTM X-BOW(クロスボウ)1台、メルセデス・ベンツ AMG GT 3台、ポルシェ ケイマン 2台(982 1台と981 1台)、BMW M4 2台、アストンマーチン ヴァンテージ1台、アウディ R8 1台となっています。
で、このクラスは、前述のとおり参加台数が多く、車種のバラエティに富んでいるところが魅力。X-BOWのような珍しいクルマが観られるのも楽しいです。
ST-TCRは、FIAとSROによる、TCR規格の車両によって争われるクラス。
TCR規格とは、前輪駆動で、全長4.2m以上、全幅1950mm以下の4ドアまたは5ドアの車体を持ち、シングルターボを装着した排気量1750~2000cc、最大出力350PS、最大トルク420Nmのエンジンを搭載した、FIAグループA規定に準じた車両(他にも最低地上高やホイール径など様々な規定あり)で、FIAとTCR技術部門によるBoPあり。
またジェントルマンドライバー、プラチナドライバー規定もST-Xクラスと同様です。
もてぎは5台がエントリーし、内訳は、アウディ RS3が3台、ホンダ シビックが2台となっています。
で、このクラスは、参加台数こそ少ないものの、参戦しているドライバーが、元F1ドライバー2名、SUPER GTの現役GT500ドライバー2名、他にもGT500チャンピオン経験者やGT300チャンピオン経験者などなど、そのレベルが何故か異様に高いというか。なので、ハイレベルなバトルが観られるのはもちろん、どこに速いドライバーを持ってくるかの交替戦略にも注目したいですね。
ここからは、JAF公認・登録車両、STO特認車両によるクラス。基本的には4座席以上の市販車となりますが、STOの特認を受ければ2座席の車両も可。更に特認を受けると、本来該当するクラス以外への参加も可能となりますが、国内の新車販売価格が1200万円を超える車両はそもそも参加が不可となっています。
そのうちST-1クラスは無差別級とでも言うべきクラスで、後述するST-2~ST-5の規格に当てはまらない車両(強いて言えば、排気量3501cc以上で駆動方式不問でしょうか。)が参戦します。
もてぎでは、トヨタ GRスープラ 1台のみのエントリーですが、開幕戦の富士SUPER TEC 24時間レースには、他にレクサス RC Fが1台、ポルシェ ケイマンが1台参戦していました。
で、このクラスは、時にST-Zクラスを食う走りを見せる、今年デビューしたGRスープラの速さが見もの。走らせるROOKIE RACINGはある意味ではトヨタ直系といえるチームで、トヨタのテストドライバー養成や車両開発のため参戦しています。(来年以降、GRスープラの台数が増えると良いなぁ。)
ST-2クラスは、排気量2001~3500ccの四輪駆動または前輪駆動の車両で争われるクラス。ちなみにターボ装着車はガソリンエンジンの場合、元の排気量にターボ係数の1.7を乗じた数値を排気量とみなします。
【三菱 ランサーエボリューション】
【マツダ アクセラスポーツ】
【トヨタ GRヤリス】
【スバル WRX】
【ホンダ シビック タイプR】
もてぎでは6台がエントリーし、その内訳は、三菱 ランサーエボリューションが2台、マツダ アクセラスポーツが1台、トヨタ GRヤリスが1台、スバル WRX STIが1台、ホンダ シビック タイプRが1台となっています。
で、このクラスは長年、ランエボ vs WRXという、ラリーっぽい車種の争いが見ものだったのですが、そこに割って入ったのが、今年デビューして開幕戦の富士SUPER TEC 24時間レースにいきなり優勝した、ROOKIE RACINGが走らせるGRヤリス。(これまたラリーっぽい!)しかもそのドライバーには、トヨタ自動車代表取締役執行役員社長兼CEOの豊田章男氏が、ドライバーネームMORIZO(モリゾウ)として参戦します。
ちなみにMORIZO選手は、レースファンには知られた存在ですが、社長にしてトヨタ車の最終的な乗り味を決めるマスターテストドライバーという稀有な存在で、レーサーとしてもニュルブルクリンク24時間レースに参戦、クラス優勝するなど、数々の実績を残しています。
また、これまでクラス優勝争いには絡めていないもの、ディーゼルターボエンジンを搭載するアクセラスポーツや、昨年に続いてもてぎに参戦してきたホンダの社員チームが走らせるシビック タイプRがどんな戦いを見せるのかも注目したいです。
ST-3クラスは、排気量2001~3500cc(ターボ係数については他クラスと同様)の後輪駆動車で争われるクラス。
【日産 フェアレディZ】
【レクサス RC 350】
【トヨタ クラウン】
もてぎでは5台がエントリーし、その内訳は、日産 フェアレディZが2台、レクサス RC 350が2台、トヨタ クラウンが1台となっています。
で、このクラスは、2016年以来チームは変われど年間王者を続けているRC 350同士のの戦いの中、時たまそれを食う走りをみせる古強者のフェアレディZがどこまで食い込むか。そして、昨年までマークXで参戦していた埼玉トヨペットGreen Braveが、マークXの生産終了を受け今年から投入したクラウンが今回どんな走りを見せるのか注目。
ちなみにこのクラウン。なんとデビュー戦の富士SUPER TEC 24時間レースにいきなり優勝。マークX時代に果たせなかった年間王者になれるかどうか、個人的に一番推している参戦車両だったりします。
ST-4クラスは、排気量1501~2000cc(ターボ係数については他クラスと同様)の、駆動方式不問の車両で争われるクラス。
【トヨタ 86】
【マツダ ロードスターRF】
【ホンダ インテグラ】
もてぎでは7台がエントリーし、その内訳は、トヨタ 86が5台、マツダ ロードスターRFが1台、ホンダ インテグラが1台となっています。
で、このクラスは、まだまだ頑張るインテグラに、あえてRFをこのクラスに持ってきたロードスターも気になりますが、何といっても86同士の争いが熾烈。
またその86を操るドライバーもすごい人達が揃っていて、2016年に全日本スーパーフォーミュラ選手権を制した国本雄資選手がしれっと参戦していたりするのですが、それ以外は勢いのある若手が多い印象で、例えば、先日スーパーフォーミュラで初優勝を果たした坪井翔選手、今季のスーパーフォーミュラ・ライツでポイントリーダーを走る宮田莉朋選手は共にSUPER GTのGT500クラスでも活躍していますし、他にもFIA F4選手権でポイントリーダー独走状態の平良響選手や、SUPER GTのGT300クラスで活躍する若手ドライバーも複数いるなど。そんな中、ベテランも健在で、1970年台からレース活動をされている浅野武夫選手のチームに、かつて全日本GT選手権~SUPER GTのGT500クラスなどでドライバーとして活躍し、現在はつちやエンジニアリングの監督を務める土屋武士選手が今季からドライバーとして加わるという胸熱な展開も。
なので個人的には、スーパー耐久シリーズで一番アツいクラス、かつ、レースそのものが面白いクラスだと思っています。
ST-5クラスは、排気量1500cc以下(ターボ係数については他クラスと同様)の、駆動方式不問の車両で争われるクラス。
【ホンダ フィット】
【マツダ デミオ】
【マツダ ロードスター】
【トヨタ ヴィッツ】
もてぎでは各クラス中最多となる13台がエントリーし、その内訳は、ホンダ フィットが3台、マツダ デミオが2台(うちディーゼル1台、ガソリン1台)、マツダ ロードスターが7台、トヨタ ヴィッツが1台となっています。
で、このクラスは、参加台数の多さはもちろん、何といっても車種のバラエティに富み、更に駆動方式(FFかFRか)や、エンジン(ガソリン車かディーゼル車か)の違いがあるので、それらによってレース展開、そして結果を左右するところが見もの。例えば、車種によって得意なコースが違ってきますし(2014年以降、ツインリンクもてぎではホンダ フィットしか勝ってないんですよね。)、悪天候にも強いFF車と一発の速さがあるFR車という駆動方式による違い、そして、レースの距離が長ければ長いほどスピードに多少劣っても給油回数(≒ピットでの静止時間)が少なくて済むディーゼルエンジン搭載車が有利になるなど。
また、スーパー耐久シリーズの魅力のひとつであるアマチュアリズムにいちばん溢れているのもこのクラスで、個人的には、いちばんスーパー耐久シリーズらしいクラスだと思っています。
以上、ものすごくざっくりで分かりづらい面も多々あったとは思いますが、このあたりが私の知識と文章力の限界ということで。
あと蛇足ですが、この時点での、個人的に今シーズンの推しクルマはクラウン、推しクラスはST-4クラスとST-5クラスということで。(老婆心ながら、スーパー耐久シリーズは、レースによっては一度に走行する台数がとても多いですし、今回にしたって予選が3時間、決勝は5時間もの長時間に渡るため、「推し」のクルマなりドライバーなりクラスを作っておくと、観戦する際、より観やすいかと。)
と、備忘録なので色々と書いていたら、まだ観戦記にたどり着いていないにもかかわらず、ここまででかなりの分量となってしまったという……。なので今回は、ここで一旦記事を切らせていただきたいと思います。
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