趣味の活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】
愛知高速交通東部丘陵線(愛称:リニモ)は、日本初となる磁気浮上式リニアモーターカーの実用路線。名古屋市営地下鉄東山線と接続する藤が丘駅を起点に、愛知環状鉄道線に接続する八草駅を終点として起点終点を含めた駅数は9駅、全長8.9km、全線複線の軌道路線となっています。
それでこのリニモに使われている『HSST』という方式は、元々、日本航空(そう、あのJALです。)が昭和40年代に研究を始めたもの。(当時建設中だった成田空港へのアクセス用として研究開始したとのこと。)昭和50年(1975年)には最初の実験車両「HSST-01」(無人)が完成し、その3年後に初の有人実験車両「HSST-02」も完成したのですが、個人的に思い出深いのは3代目の実験車両である「HSST-03」。昭和60年(1985年)に開催された『国際科学技術博覧会(つくば科学万博)』に出展され、直線の軌道を往復するだけでしたが、体験乗車も出来ました。で、私も当時、高校の遠足で訪れた際、(結構な行列に並んで)乗ることができたのですが、その浮揚感と滑るような走りに「これが未来の乗り心地か!!」などといたく感動した覚えがあります。(「HSST-03」は更に昭和61年(1986年)の『バンクーバー国際交通博覧会』、昭和62年の(1987年)の『岡崎葵博覧会』に出展。)
その後、4代目の実験車両「HSST-04」が昭和63年(1988年)の『さいたま博覧会』に、5代目の実験車両「HSST-05」が平成元年(1989年)の『横浜博覧会』に出展。中でも「HSST-05」は、日本で初めての、鉄道事業法による磁気浮上式リニアモーターカーの営業運転となりました。
そして平成3年(1991年)、前年に名古屋鉄道、愛知県、日本航空などの出資によって設立された中部HSST開発により、(昨日乗った)名古屋鉄道築港線に沿った全長1.5kmの実験線が建設され、実用化に向けた開発が開始。愛知県で開催される愛知万博『愛・地球博』の会場アクセスと、閉幕後は東部丘陵地帯の地域交通として、博覧会開幕に先駆けた平成17年(2005年)3月5日、東部丘陵線が全線開業しました。
今回、所用で岐阜まできたついでに名古屋鉄道を全線完乗すべく乗り継ぎの計画を立てた際、その3日目となるこの日、そのついでにかねてより乗りたいと熱望していた愛知高速交通東部丘陵線(愛称:リニモ)を、行程に組み込むことが出来ました
3日目のスタートは、名古屋栄のビジネスホテルから。予定では、栄8時30分発の名古屋市営地下鉄東山線藤が丘行き普通列車で出発する筈だったのですが、少々早く起きてしまったものだから、予定を早めて8時2分発の藤が丘行きに乗車。
名古屋市営地下鉄の藤が丘駅は(地下鉄なのに)高架駅というのに(知識として知っていても実際に体験すると)軽く驚いたのですが、愛知高速交通東部丘陵線(愛称:リニモ)の藤が丘駅は(リニモは基本的に高架線を走るのに)地下駅というのが(こちらも実際に体験すると)また軽く驚いたという。
早速入口から地下に降り、手持ちのSuicaで改札口を通過。1面2線となるホームドア付きの短いプラットホームには、先発の9時35分発の列車が停車中でしたが、先頭車の展望席的ポジションのシートに先客がいるのを発見したので、ここは慌てず次の列車を狙うことに。予定より早めに宿を出たのが、ここで功を奏しました。
先発の列車が発車して程なく、折り返し8時43分発となる列車が到着。先頭の乗車口には私しか居なかったので、難なく特等席に座ることが。ちなみに、リニモで現在走っている車両は全て、開業当初から運行されている100形という形式の3両編成。車両の長さは先頭車は14m、中間車は13.5mと一般的鉄道車両(JR車両の大部分や名鉄の地下鉄乗り入れ車両は20m、それ以外の名鉄車両は19m)よりだいぶ小ぶりで、乗降扉は片側2箇所。車内はロングシートとボックスシートを組み合わせたセミクロスシートです。それで藤が丘方から車両毎に101形、102形、103形という個別の形式がつけられており、先頭部に書かれていたナンバーは6なので、今回乗車した八草方の先頭車は163という車両番号となる筈です。
やがて発車時刻が近づくと、先頭の運転台部分に乗務員が着席。このリニモは基本的に全線で自動運転されているのですが、藤が丘駅と次のはなみずき通駅の間の地下区間(と、一部列車の全区間で)先頭の運転台部分に乗務員が乗車します。そして定刻となりチャイムと共にドアが閉まると、停車中車両を固定していたブレーキを解除する「ゴっ!」という音、続けてリニアモーターを制御するVVVFインバータの「ヒーーーー」という音と共に鋭い加速で発車。当然、車輪から聞こえる金属の摩擦音や、レールのギャップを通過する際のショックは無く、前後左右には揺れるけど上下方向に関してはショックのない滑るような乗り心地は、とっても近未来感ありますね。
発車後、自動の案内放送が流れる中、列車は少しの間、地下区間を走行。右にカーブして、そして左にくいっとカーブという、わりとトリッキーな線路の敷き方がなされているのですが、これはこの路線が愛知県道6号力石名古屋線に沿ってというか重なるように敷設されているから。で、上り勾配を登って地上に出たと思ったらすぐ、最初の停車駅であるはなみずき通駅に進入。この駅、リニモで唯一の、相対式ホーム(2面2線)。また唯一の地上駅だそうですが、高さの低い高架駅っぽい雰囲気。それにしても、停車する際というか減速から停車に至るまでの感覚も、一般的な鉄道とは違いますね。で、最後は「ゴっ!」という音と共に機械式ブレーキを掛けて停車しました。
はなみずき通駅を発車するとすぐ、列車は上り勾配を登りつつ、県道6号に合わせて右に急カーブ。それにしても、先程地上に出て以来、長久手市の中心?市街地を走行しているのですが、一般的な鉄道の高架線と違って下方向への視界が良いので、空に浮いている感が強いですね。で、今度は左に急カーブを切ると、杁ヶ池(いりがいけ)公園駅に。リニモでは標準的な1面2線の島式ホームを持つ駅です。
杁ヶ池公園駅から次の長久手古戦場駅までは、この路線の最高速度100lm/hで走行する区間。相変わらず市街地上空を走りつつも、遠くに尾張丘陵が、近くには木々の緑が見えてくると、100km/hで走ったお陰かあっという間に長久手古戦場駅に停車。この駅には「イオンモール長久手前」という副駅名がつけられています。で、個人的には駅名のとおり、羽柴秀吉と徳川家康・織田信雄同盟が戦った(そして最後はちょっとグタグタ気味に和睦しちゃった~あくまでも個人の感想です。)「小牧・長久手の戦い」が一番に来るところ。ちなみにその発端は、この戦いで討ち死にすることになる池田恒興が、昨日車窓から見た犬山城の占拠を占拠したことから始まったという。もっともリニモ的には、副駅名にもなっている駅直結のイオンモール長久手の方が、乗降客数に多大な貢献をしているようですが。
長久手古戦場駅を過ぎると市街地は終わりを告げ、左手に個人的にいつか必ず行ってみたい(鉄道に限らず乗り物全般好きなもので。)トヨタ博物館の大きな建物が過ぎる頃、芸大通駅に到着。この駅手前付近で、昨日も何度か絡んだ愛知用水と交差するはずなのですが、用水路は暗渠になっているため見えず。そして芸大通駅を出ると、地域高規格道路である「名古屋長久手道路」が線路を跨いでいき、このあたりでは「猿投グリーンロード」という有料道路になっている愛知県道6号と合流。またこのあたりからでしょうか、線路は愛知丘陵の東部に入り、その地形に沿ってアップダウンしつつという感じで進むのですが、それと同時に、前方に見えた「愛・地球博記念公園」の巨大な観覧車が徐々に近づいてきます。ちなみにこの芸大通駅と公園西駅間の区間もこの路線の最高速度100km/hが出る区間なのですが、先程と違って丘陵地帯に入っているので、また違ったスピード感ですね。
前方に見えていた観覧車が大きくなると、公園西駅に停車。発車後は進行方向右手に愛・地球博記念公園を見つつ進むと程なくして、リニモの開業からから翌年までは万博会場駅という名称だった愛・地球博記念公園駅に。リニモの途中駅で唯一の駅員配置駅となっています。ちなみに当時は仮設ホームを含めた4面3線の配線で運用されていましたが、現在は2面3線となっています。
【愛・地球博記念公園駅-陶磁資料館南駅】
【陶磁資料館南駅-八草駅間】
愛・地球博記念公園駅から先は、これまでよりも緑が濃くなるというか、これまでよりも一層、建物が目に入らない区間となりますが、次の陶磁資料館南駅との間に、このリニモの車両区基地と、リニモを運営している愛知高速交通株式会社がある筈。というのも、それらは進行方向右手の地上にあるのですが、気付かずに陶磁資料館南駅に着いていたという。そして陶磁資料館南駅を出てちょっと坂道を登ったら、後はカーブしながら下るだけ。遠くに見えていた八草駅に向かってぐんぐん近づいていきます。
そして藤が丘駅を出てから約17分。9時00分に、終点の八草駅に停車。磁気浮上式リニアモーターカー独特の乗り心地だったことはもちろん、一般的な鉄道よりもアップダウンが多く勾配も急だったりと、リニモならではの乗り味を堪能することが。全く退屈しなかったどころか、正直まだまだ乗っていたかったくらいです。
そんなわけで、気持ち的には折り返しの列車に乗りたかったのですが、この先の旅程もあるので、後ろ髪を引かれる思いで愛知環状鉄道に乗換。名鉄完全乗車の旅に戻ります。
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