趣味の活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】
昨年、宮城県にあるスポーツランドSUGOでスーパー耐久というレースを久しぶりに見て以来、案の定、昔めちゃくちゃハマったモータースポーツ観戦熱が高まり、それが我慢できなくなって今年に入るとDA○Nやら○ SPORTSオンデマンドやらCSの○+を契約。週末自宅にいる時など、クルマやらバイクやらがTV、そしてPCのモニターを走り回ることが多くなっしまいました。ですが、実際にサーキットまでレースを行く機会はなかなか作れず、今年も国内で行われている様々なカテゴリーが終盤戦を迎えるなか、日本で一番人気が高い4輪レース、『SUPER GT(スーパーGT)』選手権の最終戦に行くことが。
実際の観戦記に入る前に、サーキットのこととかレースのこととか個人的おぼえ書きを少々。というのも、ツインリンクもてぎに行くのは確か14年ぶりだし、前回GT選手権を見た頃は『全日本GT選手権』という名前で当時とはレギュレーション(車両やレースの規則)も相当変わっているもので。
ツインリンクもてぎは、2輪4輪メーカーであるホンダが、鈴鹿サーキットに続く自社所有のサーキットとして1997年(平成9年)8月、栃木県芳賀郡茂木町にオープンさせたサーキット。余談ですが、その建設中の様子は地元栃木県ということと、当時ちょっとだけ建設業界に関係していた仕事をしていたこともあって、山に囲まれた谷あいにサーキットを建設するにあたり、掘削で発生した残土を全て整地の際に使用するという当時としては特徴的な工法だったことをよく覚えていたりします。
で、その最大の特徴はサーキットの名前が示すとおり、世界でも珍しい、オーバルコース(スーパースピードウェイ)とロードコースの2種類のメインとなるコースが併設されていること。
まずはオーバルコースですが、2本のストレートをコーナーで結んだコース長1周1.5マイル(約2.4km)の左(反時計)回り。(ちなみアメリカのオーバルコースは全て左回りだったかと。)ストレートの距離は2本とも1969フィート(約600m)で、特徴的なのはコーナーの半径が、第1~第2ターンは220Rとゆるく、第3~第4ターンは160Rときつい、エッグ・シェイプとなっていること。またコーナーのバンク角が10度と浅めなこともあり、第3ターン進入前にシフトダウンが必要になるところがポイントだそう。で、開設以来、CARTやインディカーといったアメリカン・オープンホイール・レーシングカーに加え、NASCAR(市販車の外観を模した「ストックカー」というカテゴリー)のレースまで開催されたのですが、あの東日本大震災によってコースが損傷。(段差が出来てしまったとのこと。)それ以降は、オーバルコース全体を使ったレースは行われなくなってしまった(私が知らないだけかもしれませんが。)ものの、ホームストレート区間を使用して『もてぎストリートシュートアウト』という参加型のドラッグレースイベントが行われています。
一方ロードコースは1周4.8km、高低差30.4m。585mのホームストレートと762mのダウンヒルストレートなど複数の直線区間に、半径25~130Rからなる14のコーナー(右8、左6)を持つテクニカルなレイアウト。で、(令和元年)現在は、2輪は世界選手権MotoGPの『日本グランプリ』の他全日本ロードレース選手権などを、4輪では今回観に行くSUPER GT選手権、国内最高峰のフォーミュラカーによるレースである全日本スーパーフォーミュラ選手権、市販車改造のレースカーにより行われるスーパー耐久選手権といった国内の主要な選手権がなど開催されています。
加えて園内には南コース(全長1.26km)、北ショートコース(全長0.96km)、マルチコースといった走路が設けられていて、それらを舞台に全日本カート選手権や全日本ジムカーナ選手権が。更に園内の森を舞台にトライアル(2輪)の世界選手権や全日本選手権を開催。あと、2輪、4輪の地方選手権や参加型のモータースポーツイベントが多数行われている他、自転車のレースや花火大会まで行われています。
次にSUPER GTですが、久しぶりにモータースポーツ観戦に復帰=あまり詳しくない人間にとっては、正直、一言で表すのが難しいレース。無理に短く言おうとすると、市販車の外観を模して制作された純レーシングカーや、市販車をベースに開発されたレーシングカーを使い、1レースを複数のドライバーが交替で走る、セミ耐久及び耐久レース(レース距離250km~500マイル)の国際選手権といったところでしょうか?
日本において近年、「GT」の名前が付くレースが始まったのが1993年(平成5年)。JAFが統括して全日本選手権までかけられた『全日本GT選手権(JGTC)』が開始されました。しかし、エントリー台数がニッサンのBNR32型スカイラインGT-R(GT1クラス)と、PS13型シルビア(GT2クラス)の2台に留まり、全9戦開催予定のうち開催されたのが4戦、更にそのうち1戦は参加台数不足により不成立という状態でした。(成立した3戦も、富士スピードウェイで行われていた『ジャパン・スーパースポーツ・セダンレース(JSS)』や第1戦のみアメリカで行われていた『IMSA GT Championship』のIMSA-GTUクラスとの混走で実施。)このあたり、前年に終了した『全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)』や、この年限りで終了する予定だった『全日本ツーリングカー選手権(JTC)』、先述のJSSなどといったレースカテゴリー再編や、各メーカーとサーキット、そしてエントラントの思惑もあって、レースを統括するJAFも色々とやったけど笛吹けど踊らずと言うか、この年に限ってはそんな状態になってしまったような記憶があります。
それが、現在につながるかたちになったのが翌年の1994年(平成6年)。現在SUPER GTを統括するGTアソシエイションが、エントラントによる任意団体として前年10月に発足し、シリーズのプロモートを行っていくことに。(その後株式会社化。)また、現在も続く(成績上位の車両に次戦から課される)ウエイトハンデ制が導入されたのもこの年から。そしてレースの方は、全5戦で争われることになりました。ちなみに、この5戦の勝者というか優勝車両を見ると、現在のGT500クラスにつながるGT1クラスが、ニッサン・スカイラインGT-R(BNR32型、2回)、ポルシェ・962C、フェラーリ・F40、。現在のGT300クラスにつながるGT2クラスが、ポルシェ・911(964A型、2回)、ニッサン・スカイラインGTS-R(HR31型)、マツダ・サバンナRX-7(FC3S型)、BMW・M3(E30型)という感じ。ウエイトハンデが機能したのか同じクルマが連勝したのはGT2クラスのポルシェだけ(GT1クラスのGT-Rは別チーム)だったのですが、勝った車両にしてもGT選手権用に作られたクルマや、元はスポーツプロトタイプカーであるグループC規定のクルマ、JTCに参戦していたグループA規定のクルマ、JSSに参戦していたクルマとかなりカオスな状態になっています。
ですがその後、イコールコンディションを保つためにレギュレーションがマメに改正されたり、選手権の盛り上がりに比例するかのように国内メーカーが力を入れるようになったせいもあったのか、GT1から平成8年(1996年)に名称変更となったGT500(当時のマシンの最高出力に由来)クラスは次第にトヨタ、ニッサン、ホンダという3メーカー中心の争いになっていき、逆にGT2クラスから同年(同由来)に名称変更となったGT300クラスはプライベーターが中心で様々な車種が参戦するクラスというふうに棲み分けがなされていったように思います。
そんなJGTCが現在のSUPER GTに変わったのが2005年(平成17年)。JGTC時代からマレーシアでレースが行われていたのですが、この年、中国の上海でレースを行う計画があり(結果的に中止)、するとFIAが定める国内選手権(国外で開催できるのは1イベントのみ)の規定から外れるため、JAFの管轄する全日本選手権ではなくFIA公認の国際選手権となり、名称も若干の紆余曲折を経てSUPER GTに変更となりました。
そしてだいぶ端折りますが、今年(2019年)のSUPER GTは、以下のとおりに。
まずレース数は、選手権として行われる国内7戦、国外(タイ)1戦の全8戦に加え、来年からGT500クラスと車両に関するレギュレーションが統一される『ドイツツーリングカー選手権(DTM)』との特別交流戦がシーズン終了後に行われることに。またそれに先立ちDTMのシリーズ最終戦に、日本からGT500クラスの車両が3台参戦することになりました。あと上位入賞車両は成績に応じて次戦からウエイトハンデが課される他、場合によっては燃料リストリクターで燃料流入量を制限されることに。ただし、第7戦はそれまで課されていたウエイトハンデを半減、そして最終戦は(全戦参戦した車両は)ウエイトハンデ無しでレースを実施します。
次に参加車両ですが、GT500クラスは、先述のDTMとおおむね共通。参戦する全車両が共通のカーボンモノコック+鋼管スペースフレームのシャシーに、ニッポンレースエンジン(NRE)規格の2リッター直列4気筒シングルターボエンジンを搭載。それに市販車を模した外観を付けた純レーシングカーたる車両が使われます。ちなみに車種は、前年のチャンピオンであるホンダはNSX、トヨタはレクサスLC500、ニッサンはGT-R。エンジン搭載位置はNSXだけがミッドシップで、あとはフロントに。駆動輪は全車後輪のみとなっています。
またGT300クラスは、参加車両の規格だけでJAF-GT300、JAF-GT300マザーシャシー(MC)、FIA-GT3と多岐に。まずJAF-GT車両は、元々のこのクラスの車両たる規格で、市販車をJAF-GT300規定に従って大幅に改造して作られた車両で、トヨタ・プリウスPHV、スバル・BR-Zが参戦。JAF-GT300MC(マザーシャシー) は名前の通り共通のシャシー、そして共通のエンジンを搭載し外観を市販車に似せた純レーシングカーで、トヨタ・86、トヨタ・マークX、ロータス・エヴォーラが参戦。最後に現在一番多い台数になっているのがFIA-GT3で、メーカーが開発・販売するFIA-GT3規格の市販レーシングカー。ホンダ・NSX、レクサス・LC F、日産・GT-Rといった国内メーカーに加え、メルセデス・AMG GT、ポルシェ・911、アウディ・R8、アストンマーティン・ヴァンテージ、マクラーレン・720S、ランボルギーニ・ウラカンといった国外メーカーの車両が参戦しています。
それと選手権ポイントについて。選手権はドライバータイトルとチームタイトルがあり、全戦の合計ポイントでシリーズチャンピオンを決定。決勝の1位から10位まで、20,15,11,8,6,5,4,3,2,1と順位に応じたポイントを獲得できるのですが、700km以上のレースだと25,18,13,10,8,6,5,4,3,2と獲得ポイントが通常より多くなります。(ただしどちらも、中断などでレースが規定周回に満たない場合半分のポイントに。)更に、予選でポールポジションを獲得した場合、ドライバーにのみ1ポイントが。また完走を果たしたチームには、GT500クラスの場合1位と同一周回だった全車が3、1周遅れが2、2周以上の遅れが1、GT300クラスの場合1位と同一もしくは1周遅れが3、2周以上の遅れが1ポイント与えられます。
あと特徴的なルールだと思うのが、スポーツマンシップに基づいた、「ドライビング・モラルハザード」とペナルティポイント。レース期間中のみならず、公式テスト走行中や公式イベントでも、危険なドライビングやモラルに逸脱した行為があった場合、その程度に応じたペナルティポイントが加算され、その累積度合いによって、次のレースの公式練習の参加を制限されたりスターティンググリッドを降格させられたり、最悪の場合レースに出場できなくなってしまいます。
前置きがやたらと長くなってしまったのですが、そんなSUPER GTを、今回初観戦。というのも、前回観た時はまだ『全日本GT選手権(JGTC)』の頃だったということもあるのですが、その間の車両規定の大幅変更などがあり、当時と今では参加する車両が全く別物になってしまっているので、実質的にも別のレースだなぁ、と。
それで今回、自宅から2時間とかからずに行けるツインリンクもてぎでレースが行われるので、せっかくだから予選日から観ようということにして、11月2日の土曜日、午前5時頃に出発。県北中央寄りの自宅からサーキットのある茂木町まで行く場合、いくつかのルートが考えられるのですが、今回は久しぶりだったのでカーナビ代わりのスマホアプリの指示どおりに走ってみたところ、県道で高根沢町や市貝町を経由して茂木町へと。途中の道が、昔と比べていろいろと新しくなっているのには驚きました。で、国道123号まで出れば、あとはサーキットの北ゲート入口の交差点までは一本道というのは、かつて何度も通ったこともあってよく覚えています。
交差点を右折して少々走ると、ツインリンクもてぎの北ゲートに到着。ここでチケット類を見せて先へと進むのですが、参考というか、次にまた来る時のために今回のチケット類についてのおぼえ書きを少々。ちなみに今回は、全て事前に前売りの2日間通し券を購入しました。
で、まずレースを見るための観戦券は、最終コーナー付近の常設ベンチ席にあるA席(日曜日だけ指定席)のうち最も最終コーナー寄りとなるA-3席(8100円×2名)を。モビリティランドのウェブサイトで席番号指定で購入しました。またこのA席のチケットには駐車場代が含まれていないので別に買う必要があるのですが、スタンドから比較的近いオーバルコース内に止められる指定駐車券は既にソールドアウトだったので、通常の前売駐車券(2100円)をあわせて購入。そして昔は確かなかった、コースで唯一、マシンを正面から見られるという5コーナー激感エリアパス(2600円)も、物は試しという感じで1人分だけ。逆に、ピットウォーク、パドックパスは省略。あと昔はなかったサーキットサファリ(コース上にレーシングカーが走っているところを、バスの乗って回れるらしい。)というのも興味があったのですが、今回は見送ることにしました。
北ゲートから進入後、ちょっと行ったところにあるN4駐車場にクルマを駐車。到着したのは午前6時半頃だったのですが、空きスペースはまだまだ余裕が。ちなみにこれより先というか中央エントランスに近い駐車場は、全て特定のチケット専用もしくは指定駐車場になっているので、私の持っている「ただの」前売駐車券では停められないんですよね。
駐車場から中央エントランスまでは徒歩で。場内には無料ループバスがあり、N4駐車場からだと「キャンプヴィレッジ前」停留所から乗れば中央エントランスの至近まで行けるのですが、歩いてもさほどかからないような記憶があったので。
坂を登りつつ歩くこと15分ほどで中央エントランスに到着。既にオープンしていた(ちなみにこの日のオープン時刻は6時45分)ので、チケットを見せて早速中へと。
で、この日は今回私が買ったA席の他、コースに近いヴィクトリースタンド(V席) が自由席などが自由席となっているためいくつかの席で見て回ろうと思っていたのですが、その前に立ち寄ったのがオーバルコース(スーパースピードウェイ)上に設けられたホスピタリティガーデン。
【展示される3メーカーの2020年用クラス1 GT500マシン】
【トヨタ GRスープラ】
【ホンダ NSX-GT】
【ニッサン GT-R NISMO GT500】
というのもここに設けられた特設テントで、来年(2020年)用のGT500マシンが展示されているからでして。
これについては、経緯を全部話すととても長くなるのでかい摘むと、日本を中心に行われているSUPER GTのGT500クラスと、ドイツを中心に行われているDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の間で、2014年(平成26年)から、レース車両に関する規則のうち一部を共通化してきたのですが、2020年(令和2年)からその規則をCLASS1(クラス1)という名称で完全に統一するのに伴い、GT500に参戦する3メーカーの車両も新しくなるという。
で、この中でも大きく変わるのがホンダとトヨタ。ホンダは、車種こそNSXで変わらないものの、これまで特認というかたちで認められていたミドシップエンジンが、クラス1規定に合わせてフロントに変更されFR化。そしてトヨタは、車種がこれまでのレクサス LC500からGRスープラに変更となりました。
そうこうしているうち、この日、コース上で行われる最初のセッション、FIA-F4選手権の公式予選が開始に。ここから暫くは、1コーナーに一番近いところにあるV1席で見ることにしました。
ちなみにFIA-F4選手権は、国際自動車連盟(FIA)が定めた規格をもとに世界各国・各地域で行われている、いわゆるジュニア・フォーミュラカーの選手権で、日本ではSUPER GTのサポートイベントとして実施。F3など上位カテゴリーにステップアップを目指す若手ドライバーが鎬を削る選手権シリーズとなっている他、今年からジェントルマンドライバーと女性ドライバーを対象とした「インディペンデントカップ」が創設されました。
それで今回のもてぎのSUPER GTレースに合わせ、土曜日に第13戦が、日曜日にシリーズ最終戦となる第14戦が行われるのですが、その予選がこの30分1セッション。各ドライバーが出したタイムのうち、最も速いものが第13戦の、次に早いものが第14戦のスターティンググリッドを決定します。で、この予選で速さを見せたのが、既に今季のシリーズチャンピオンが決定している佐藤蓮選手。最速、2番目ともトップタイム(って変な表現ですが)で2戦ともポールポジションが決定しました。またインディペンデントカップは、#30のDRAGON選手が最速、2番目とも20番手のタイムで最上位となっています。
それにしても、このFIA-F4選手権には35台ものエントリー(うち12台がインディペンデントカップ)があり、それが30分間ひっきりなしに走る様を見つめていると、悟りが開けそうになるというのは同行者の弁。確かに、たまにF1中継を見るくらいの人がサーキットに連れてこられて、いきなり全く馴染みのないドライバーが運転する全く馴染みのないクルマが目の前を次々走り過ぎる様を見せられるのは、さながら修行のようではあったかと。
と、サーキットに来てまだSUPER GTのクルマが走りだしていないのですが、ダラダラと書いていたらここまででだいぶ長くなってしまったので、中途半端なところであるものの、ここで記事を一旦切りたいと思います。(余計なこと削って書き直そうと思ったけど、このところ頭の調子がいつも以上に回らず無理っぽいので、そのままあげてしまうことにした次第。長々とお付き合いいただいた方、本当に申し訳ない。)
で、次の記事では、いよいよSUPER GTのマシンが走りだす公式練習以降のことについて続けて書いていければと。
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