たひお備忘録

趣味の活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】

鹿島鉄道線の痕跡 【令和元年9月4日】

かしてつバス専用路線にある踏切

 新千歳空港から飛行機で飛んだ先は、行きに利用した羽田空港ではなく、茨城空港。何故そうなったかは置いといて、茨城空港から自宅まで、公共交通機関を使って帰ることになりました。

 そこで出会ったのが、平成19年(2007年)4月1日に廃止となった、鹿島鉄道線の痕跡です。


鹿島鉄道線とかしてつバスについて

 鹿島鉄道線は、鹿島鉄道株式会社が運営していた、茨城県石岡市の石岡駅と茨城県鉾田市の鉾田駅の間27.2kmを結んでいた鉄道路線。廃止時の駅数は起点・終点駅を含め17。全線単線の非電化路線でした。

 この路線、昭和54年(1979年)3月までは当時茨城県下に100km以上の路線延長を誇っていた関東鉄道の鉾田線であり、昭和40年(1965年)5月までは鹿島参宮鉄道の路線となっていました。で、そのあたりの経緯はウィキペディアなど見ていただくとして、もともと関東鉄道の赤字路線の経営分離といった形でスタートした鹿島鉄道ですが、平成13年(2001年)に航空自衛隊百里基地への航空燃料の貨物輸送が終了すると経営が悪化。当面、親会社である関東鉄道と沿線自治体の経営支援で運行が継続されたものの、関東鉄道が平成19年度以降は経営支援を行わないことを表明したため、親会社の支援なくしての路線維持は困難として、鹿島鉄道は平成18年(2006)年3月30日に廃止届を国土交通省に提出。廃止が取り沙汰された平成13年から続けられた存続運動も実を結ばず、平成19年(2007年)3月31日をもって廃止となってしまいました。

 そして鹿島鉄道線が廃止された翌日から関鉄グリーンバスによって運行が開始されたのが、代替バスの「かしてつバス」。しかしながら、運行ルートとなる国道355号の渋滞が激しく、特に石岡駅近くの国道6号との交差点部分は「渋滞の名所」となっていて遅延が常態化。その結果、旅客数が鉄道時代の4割程度まで落ち込んてしまいました。

 そのため、翌平成20年(2008年)には鹿島鉄道の線路跡地をバス専用道路とする事業計画を策定し、石岡駅から四箇所村駅までの5.1kmの事業化が決定。ちなみに事業主体は沿道の石岡市と小美玉市がなり、完成後の運行は関鉄グリーンバスが行うという公設民営方式は、全国初だそうで。で、平成21年(2009年)工事に着工し、翌平成22年(2010年)8月の完成後は実証運行を開始。これと前後して平成22年3月の茨城空港開港によって運行が開始された石岡駅とを結ぶ空港連絡バスも、バス専用道路の完成後はそちらを経由するようになりました。その後、平成24年からはバスの本格運行が開始され、平成28年(2016)年9月には、かつて鹿島鉄道が発着した石岡駅の東口に、かしてつバス専用のターミナルが完成。さらなる定時性の確保がなされました。

実際に乗ってみる

 と、いかにもわかっていた風に書いてきましたが、このかしてつバス専用道路の存在を知ったのは全くの偶然なんですよね。

【茨城空港に到着したスカイマークSKY790便】
茨城空港に到着したスカイマークSKY790便

 茨城空港から栃木県北にある自宅に帰るためには、空港連絡バスでいったん水戸まで出てから宇都宮行きの高速バスに乗るか、水戸駅もしくは石岡駅まで空港連絡バスで行き、そこからJRの常磐線、そして水戸線を経由して小山駅まで出るという2通りの経路が考えられるのですが、前者は高速バスの時間が合わずに断念。なので後者の水戸線経由のルートとなりました。

 それで水戸線の運転頻度は日中1時間に1本ということもあり、水戸駅まで行っても石岡駅まで行っても乗れる水戸線の列車は同じだったのですが、水戸線の列車に乗り換える友部駅での接続時間に余裕があり、またバスと鉄道の運賃も若干安く済む石岡駅行きの空港連絡バスに乗ることに。で、バスを待ちがてらバス乗り場で路線の案内図や時刻表を眺めていたところ、停留所にことごとく「駅」という字が付いているんですよね。で、鋭い人ならこのあたりで気がついたと思うんですが、その駅の付く停留所名、例えば小川駅や玉里駅という名前を見てもピンと来ないというか、JRの駅名だったらかつてJR(国鉄)全線完乗を目指していたこともあって、だいたい頭に入っているにもかかわらず、それらに心当たりがないのが不思議な気がしていました。

【茨城空港バス乗り場に入ってきた空港連絡バス】
茨城空港バス乗り場に入ってきた空港連絡バス
【茨城空港を後に】
茨城空港を後に
【小川駅バス停手前】
小川駅バス停手前

 そうこうしているうちに石岡駅行きのバスが到着。空港連絡バスと言っても、車両は中乗り前降りの完全な路線バス仕様ですね。で、11時15分の定刻に発車してしばらくは、いかにも地方、だけどローカルではない路線バスといった景色が続きました。

 それが???となったのは小川駅というバス停に着いた時。どうみても元は駅前広場だったものを整備しましたという佇まいと、ここにかつて鉄道駅があった気配、例えば、停留所に入ってくる際に通った道の感じから、このバスがかつてあった鉄道駅を結ぶように走っていることを確信しました。そして小川町駅を発車後、早速手持ちのスマートフォンで調べてみたところ、鹿島鉄道の廃止に伴う代替バス路線に茨城空港連絡バスが走っていることがわかったのですが、更なる驚きはこの後に。

【四箇村バス停付近の地図】

 スマホで調べ物をしているうち、バスは自分でもかつて何度か走ったことがある国道355号を走っていたのですが、ある交差点からその側道のような道に入ってすぐ、四箇村駅バス停に停車。ここでおやっ?!と。

【四箇村駅-新木ノ内間】
四箇村駅-新木ノ内間

 そう思ったのも束の間、更にそこから先、フロントグラス越しに見える景色、例えばバス1台がやっとという道路の幅員や、道路沿いに立つ建物の玄関の向きからして、走っている道路がどう見ても廃線跡じゃないですか!!おまけに一般道との交差点には踏切まで。(もっとも、遮断器はこちら側の道路を向いているんですが。)それで更に調べると、今走っている道路はかつて鹿島鉄道の線路敷だったことがわかり得心がいきました。

【玉里駅-石岡玉里間】
玉里駅-石岡玉里間
【東田中駅で行き違い】
東田中駅で行き違い
【大谷津南付近】
大谷津南付近

 というわけで四箇所村駅から石岡駅までの間、時間にして10分ちょっとの間だったのですが、かつて鹿島鉄道だった車窓風景を堪能。バスは定刻の11時48分よりもほんの少し早く、石岡駅へと到着しました。ちなみにこの区間、バス停ごとの乗り降りもわりとあったのですが、このバス専用道路が出来て定時性が確保されたため、利用者数も回復したそう。そんなわけで、思わぬ形で鹿島鉄道の痕跡に触れることが出来たのですが、乗り鉄としては嬉しい限りでした。

【石岡駅に到着した空港連絡バス】
石岡駅に到着した空港連絡バス

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