趣味の活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】
5日にわたった台湾鉄道旅もとうとう最終日。(ちなみに1日目、2日目前半、2日目後半、3日目前半、3日目後半、4日目前半、4日目後半。)
この日は2日目に寝坊したため乗り損なった、縦貫線の基隆と八堵の間を乗車。これで、台湾鉄路管理局が所管する旅客営業路線1057.6kmを乗り終えることが出来ました。
※クリックで拡大(この絵に限らず当ブログの画像はクリックでだいたい拡大しますので。)
旅の最終日。午前4時40分に起床。身支度をして窓のない部屋から外に出ると、今日も天気予報は雨の筈だったのだが、晴れ間が多い空だった。
ホテル近くの店で、鹹豆漿(シェントウジャン)と蛋餅(ダンビン)の朝食。鹹豆漿は、塩気のあるタレと酢、具が入った器に温かい豆乳を注いで作るもの。蛋餅は、玉子焼きをクレープで巻いたようなもの。どちらも当地の朝食の定番だが、今回の旅では食べるのが最後の日になってしまった。
その後、ホテルへは戻らず、まっすぐ台北駅へ。
【台北駅に停車中の基隆行き1098次区間車】
【基隆行き1098次区間車EMU700型の車内】
2日目に高雄捷運に乗ったあとは電子マネーとして使っていた悠遊卡で久しぶりに改札口を通り、ホームへと向かう。台北から乗車するのは、6時00分発の基隆行き、1098次区間車。この列車の終点まで乗れば、台湾鉄路管理局が所管する旅客営業路線、全1057.6kmを完乗することが出来る。
列車は定刻の5時57分に、第4A月台に入線した。車両はEMU700型電車の8両編成だ。写真を撮ってから先頭車に乗り込む。早朝の列車とあって、車内は空いており、私の乗った車両は、1人しか乗っていない。進行方向右側のクロスシートに座った。
定刻となり台北を発車。列車は旅の初日、台湾に来て最初に乗った縦貫(ゾングァン)線を北上する。
縦貫線は、清朝統治時代末期、基隆と台南を結ぶ鉄道として建設が開始され、1891年に起点の基隆から台北まで開業、1893年には新竹まで延伸された。
その後、日本統治時代に入っても、鉄道は台湾統治に不可欠として建設が続けられ、既設の路線も改良が行われた。また終点も打狗(ターカウ)、後の高雄とし、終点側からも建設を開始。その結果1908年に、基隆と高雄の間400km余が全線開業した。余談だが現在の高雄駅は1940年に設置され、1941年に現在の名称に改称。その際、それまでの高雄は高雄港(カオシュンガン)へと改称された。
【車窓から見た八堵と三坑の間の景色】
【車窓から見た三坑駅発車直後の景色】
地下を走っていた列車は、南港を出ると地上に出た。日の出は迎えているものの、夜はまだ明けたばかりという感じだ。
台北を出てから37分で、八堵に到着。僅かな停車時間の後、2日目に寝坊して乗り損なった区間に入っていく。
この辺り、地形は案外山がちで、短いトンネルを抜けると、低い谷あいといった感じの場所に出た。こちらの車内はガラガラだが、併走する道路の、八堵方面へと向かう車線には、バスや自動車が列をなしている。
次の三坑(サンコン)は、台鉄捷運化により2003年に開業した新しい駅。このあたりから車窓の風景は、少し猥雑な古い港町の雰囲気がしてくる。その後列車は右にカーブして、トンネルへと入る。現在の基隆駅は、2015年に半地下駅化されたのだ。そして定刻6時46分、最後となった一区間を走り終えた列車は基隆駅の第1B月台に停車した。
【基隆駅の駅名標】
【縦貫線起点のモニュメント】
【基隆駅(北)の駅舎】
基隆駅は閑散としていた。線路の終端部付近に設置された縦貫線起点のモニュメントを眺めた後、一度改札口を出て駅舎の写真を撮る。基隆は駅が地下化された際、地上への出入り口と駅舎を南北の2箇所に分けたのだが、出たのは北側のほうだ。
地上に出ると、目前に港、左手にはフェリーターミナルがある。基隆は軍港でもあるので、カメラを首に掛けた不審者がウロウロするのはどうかと思ったのだが、駅を出ても人気は無く、駅前のロータリーには、タクシーが2台とバスが1台停まっているだけだった。
基隆からは、7時35分発の彰化行き109次自強号(ツーチャンハオ)で引き返す。先程乗った1098次区間車、そしてこの109次自強号の台北までの区間は、2日目に寝坊して乗り損なった予定と全く同じ。いわば、忘れ物を取りに来たような感じだ。
その109次自強号の切符は、3日目の夜、台北駅に戻ってきた時に購入しておいた。悠遊卡があれば、自強号も70kmまで割引運賃で乗れるのだが、自願無座になってしまうのが嫌だった。
【基隆駅に停車中の彰化行き109次自強号】
【彰化行き109次自強号が停車中の基隆駅第2B月台】
【彰化行き109次自強号EMU300型電車の車内】
【EMU300型電車のシート】
【EMU300型電車のシート背面】
109次自強号は7時10分頃、基隆駅第2B月台に入線。発車時刻が近づくにつれ、三々五々という感じで乗客が集まってきた。
私の席がある7車は、寒いくらいに冷房が効いている。車内の乗客は、乗ってきた時の挙動から自願無座も多いようだ。またそれとは別に、そのはしゃぎ様から、これから小旅行にでも出かけると思われる老人グループが乗り込んでいるのだが、席に落ち着かない人や声高に喋る人もいて、相当賑やかだ。
定刻に基隆駅を発車。列車は速度を上げずに走る。それにしてもこのEMU300型電車。今回は幸運にもモーター付きの車両に当たったのだが、やはり発車時に吊り掛け駆動独特の「ゴロゴロー」という音が聞こえず、モーターの回転が上がった時に唸るような「ウムォーー」という音がするのみ。そしてそれよりも、空調からの「ブロロロー」という音の方がボリュームが大きく、更に今日に限って言えば、老人の話し声の方が遙かに大きい。
最初の停車駅である八堵を過ぎても、速度を上げる感じがない。しかし、通過となる南港(ナンガン)手前から地下区間に入ると加速した。109次自強号は、程なくして台北に到着してしまうのだが、もっと乗っていたい。切符も台北ではなく中壢(ジョンリー)まで買ってある。そして中壢で降りたとしても、また別の列車に乗りたい。莒光号(ジュグァンハオ)は一度しか乗れなかったし、プッシュプル式の自強号だってそうだ。復興号(フーシンハオ)は一度も乗っていない。そして、乗った列車にしたって、ほとんどが短区間の乗車ばかりだった。やはり始発から終点まで乗らないと、その列車が持つ乗り味はわからないではないか。もっと、もっと乗っていたい。そんな気持ちだけが大きくなる。
しかし、私は台北で列車を降りた。改札口で証明印を貰うため切符を見せると、間違って降りたと思われたようであった。
【いただいた魯肉飯】
【いただいた乾麺】
【いただいた炸醤麺】
【いただいたタピオカミルクティー】
台北に戻った後は、そのまま台北捷運(タイペイジェユン)に乗って、魯肉飯や乾麺を食べ歩いた。その後また、台北捷運に乗って台北に戻り、ホテルで一休みしたあと更に炸醤麺を食べた。ホテルのチェックアウトは12時だったが、その後も荷物を預かってくれたので、ホテル隣の新光三越というデパートで土産物を物色したり、合間にタピオカミルクティーを飲んだり。
それが済んだらホテルで荷物を引き取り、午後2時過ぎ、再び台北捷運に乗って松山機場へと向かった。
チェックイン後は出発ロビーで過ごしたが、まわりはほとんどが日本人のようであった。
16時45分出発の全日空854便は、16時50分、推力を全開にして滑走路から離陸した。
左に小さく旋回する際、まだらに広がる薄い雲越しに基隆河と、それが作った谷を通る台鉄の線路が見えた。
この5日間で、台湾鉄路管理局所管の旅客営業路線全線、そして台湾高速鉄路全線には乗ることが出来たが、心残りも多い旅だった。達成感と心残りが同居する妙な心持ちの中、珍しく機内で酒を頼んだ。
また何時か来たい。いや、必ず来る。そう思いつつ、また酒を頼んだ。
この阿呆らしき鉄道乗りの記録はこれで終わりだが、これでは何とも締まらぬので、この旅のきっかけとなった、宮脇俊三著「台湾鉄路千公里」の最後の一説を拝借して終わりたいと思う。
深い関わりをもった人は一人もいないが、幾人もの顔が重なり合って思い出されてくる。汽車に乗りに来たはずなのに、浮かんでくるのは、なぜか人びとの顔ばかりであった。
(中略)
再見、再会、台湾。
さようなら、台湾の人たち。
台 北
06:00
|台鉄 縦貫線北段
|1098次
|区間車
06:46
基 隆
07:35
|台鉄 縦貫線北段
|109次
|自強号
08:09
台北/台北車站
08:25頃
|台北捷運
|淡水信義線 象山方面
|
08:28頃
中正紀念堂
09:25頃
|台北捷運
|淡水信義線 淡水方面
|
09:28頃
台北車站
14:19頃
|台北捷運
|板南線 南港展覧館方面
|
14:24頃
忠孝復興
14:30頃
|台北捷運
|文湖線 南港展覧館方面
|
14:37頃
松山機場/台北松山機場
16:45
|全日空
|NH854便
|
20:50
羽田空港国際線ビル
21:24
|東京モノレール
|G2114H
|空港快速
21:38
浜 松 町
21:41
|JR 山手線
|2106G
|普通
21:47
東 京
22:00
|JR 東北新幹線
|277B
|なすの277号
23:08
那須塩原
台鉄 台北-基隆(区間車・悠遊卡) 37元
台鉄 基隆-中壢(自強号) 153元
台北捷運 台北車站-中正記念堂(悠遊卡) 16元
台北捷運 中正記念堂-台北車站(悠遊卡) 16元
台北捷運 松山機場-台北車站(悠遊卡) 20元
(計 242元)
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