趣味の活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】
鉄道に乗るのが趣味と自称している者が、1日に2度も自分の所為で予定していた列車に乗り損ね、しかも2度目に至ってはその後気が付くチャンスが何度も有ったにもかかわらず終点近くまで気が付かない間抜けさ加減など、何と言ったら良いのか自分でも解らないくらいであるが、こんな時に先ずやらねばならぬのは、計画の立て直し。
持参した「ニュー台湾時刻表」を繰って検討するのだが、まず判ったのは、后里(ホーリー)からは乗ってきた列車の折り返しとなる13時00分発、2333次、嘉義(チャーイ)行き区間車(チュジェンチャー)に乗って引き返すしかないこと。なので、その車中で引き続きその先の乗り継ぎを検討するのだが、明日明後日の行程も勘案した結果、今日乗る予定だった集集線については、当初の予定より1本遅い列車となるが、乗っておいた方が良いように思えた。
などと必死になって検討しているうち、列車は山線から彰化(ジャンファ)を過ぎて縦貫(ゾングァン)線の南段(ナンドゥァン)へと入り、集集(ジージー)線が分岐する二水(アーシュイ)駅に差し掛かっていた。ふと時刻表から顔を上げると、車窓は都会だった台中市内とは一転して、ドラゴンフルーツなどの果樹園が広がっている。
計画の立て直しは終わっていないが、とりあえず集集線だけは今乗るべく、列車を降りた。
これから乗る集集線だが、二水から車埕(チャーチェン)の間29.7kmを結ぶローカル線。
元々は日本統治時代の1921年、水力発電所建設のための路線として開通し、その翌年から旅客営業も開始。ちなみに、この水力発電所の水瓶として選ばれたのが「日月潭(リーユエタン)」で、山一つ隔てたところを流れる台湾で最長の河川「濁水渓(ジャオスイシー)」の水を導水管で引いた事により水位が上がり、台湾で最大の湖となった。
その後の1927年、台湾総督府によって買収。台湾総督府鉄道の集集線となり、戦後は台湾鉄路管理局の所管となった。
そして1999年、沿線付近を震源として発生した921大地震で壊滅的被害を受け運休を余儀なくされた。しかし、その後3年の月日をかけて全区間が復旧。
また近年は、他の台鉄のローカル線同様に観光にも力を入れているようで、路線の大部分がある南投県政府の公式ウェブサイトには、観光資源のひとつとしてPRされ、観光客誘致に活用されている。
【二水駅を発車】
【縦貫線との間にあるドラゴンフルーツ畑】
【農地の中を行く】
二水から乗車するのは、14時40分発の2717次区間車。車両は昨日も乗ったDR1000型気動車の3両編成で、中間車の外観は可愛らしいラッピングが施されている。特に狙ってはいなかったのだが、たまたまホームで待機していた場所が良く、先頭車運転席横の特等席に座ることが出来た。またこの先頭車は、ラッピングこそされていないが、車内のシートや洞門部分に可愛らしいイラストが描かれている。
タブレットを携えた運転手が席に座り、定刻となり二水を発車した列車は、ちょっとの間右手に縦貫線を見つつ走るのだが、その縦貫線との間の、それほど広くないところにも畑があるのが面白い。そして縦貫線と徐々に離れていき、左にぐいとカーブ切ったと思ったら最初の停車駅である源泉(ユァンチュエン)に到着。左手から正面に掛けて続く低い山が見える中、列車はその後もドラゴンフルーツの他、マンゴー、バナナ、椰子といった果樹園と水田が広がる中、時折林を突っ切るような感じで走り濁水(ジャオシュイ)に到着。
その駅名は、集集線と並行して流れる「濁水渓」から取られているのだが、平行していると言っても地図を見るとかなり離れており、車窓からは拝めそうにない。
【濁水駅で列車交換】
【傾いた鉄塔】
【農地が減って林が増える】
ここでタブレットを交換したのち発車。程なく、正面に傾いた鉄塔が現れた。921大地震で被災したものだろうか。
クーリーハットを被った老婆が道を歩いている。その後、農地が減り、林が増える感じで車窓は移り変わり、また少しずつ高度を上げるように進んでいく。これまでなかったトンネルも出てくるようになった。駅周辺は人家があり、また沿線の所々に観光客向けと思われる店舗があるものの、基本的には長閑なローカル線といった景色だ。
正面の景色をずっと見ているので車内の様子はわからなかったのだが、駅ごとに乗客の乗り降りは少ないながらも有る模様。途中で私の隣に座った老人が、スマートフォンを使って大きな音を鳴らしながら動画を再生しだした時は、いきなり音が聞こえてきてちょっと驚いたが。
そして多少開けたところに出たと思ったら、集集(ジージー)に到着。ここの駅舎は日本統治時代のもので、921大地震の際に倒壊する被害に遭ったが、2001年に復旧され、現在では歴史的建築物に指定されているとのこと。余裕があればゆっくり眺めたいところだが、元々の予定でも素通りとなっていたし、それよりも1本遅い列車に乗っている今となっては指をくわえて見送るだけであるが。
集集を発車した後は、最初こそ椰子やバナナの木が見えたものの、あとは森の中を進む。右手には見えずとも濁水渓が有るはずだし、極端な急勾配もないので、山中を走っている感覚は無いのだが、短いトンネルをいくつも潜りながら更に高度を上げてくようだ。気が付けば、正面に見えていた山が随分近くなっている。
最後の停車駅である水里(シュイリー)は、駅構内が広かった。かつてはここで列車交換が行われていたのであろうか。沿線最大の観光地である日月潭へは、ここからバスに乗り換えて20分程である。
水里を出ると、集集線は濁水渓と分かれて、その支流の水里渓に沿って山の中へと分け入っていく。もっとも、水里渓も車窓からは見えないのだが。そして、もうこれ以上進めませんといった感じで、山に囲まれた終点の車埕に到着。二水駅からはちょうど50分の道のりであった。
【車埕駅の駅名標】
【車埕駅の駅舎】
【車埕駅に停車中の田中行き2718次区間車】
【2718次区間車中間のラッピング車両】
【乗車した最後尾車両の車内】
車埕は、水力発電所建設の後は、周囲の山で切り出した木材を運ぶための拠点となったという駅で、構内はかなりの広さ。また駅自体が観光施設といった感じで、平日にもかかわらず結構な賑わいだった。
改札口を通って一度駅から出て、駅舎の写真を撮ってから再び入場。折り返しとなる15時40分発、縦貫線に乗り入れて1駅先の田中(ティエンジョン)まで行く2718次区間車に。何となく、先程まで乗っていた車両に乗り込んだのだが、帰り道は景色を眺めるのではなく、ニュー台湾時刻表と睨めっこして、今日この後と、それに伴って変更される明日以降の行程を考える事にする。
それで二水到着後、元々の予定を辿って南に進み斗六(ドゥリュー)から自強号に乗り換えて高雄(カォシュン)に向かうより、北に進んで彰化の次、山線の新烏日(シンウーリー)で下車。ここは台湾高速鉄路の台中(タイチュン)駅と繋がっているので高鉄に乗り換えて高雄に向かえば、元々の予定よりも約30分早く到着できることを発見。今日乗る予定だった沙崙線は乗ることが出来なくなるが、これは明後日の行程を少しばかりいじれば乗ることが可能となるし、自強号に乗る機会が1回減ってしまうのは勿体ないが、疲れからこれ以上ミスをしたくなかったので少しでも早く高雄に着ける高鉄を使った方が良いと判断。我ながら、よくリカバリーできたと思う。
そうしているうち、列車は濁水に到着。集中していて気が付かなかったのだが、車内は数組の親子連れが乗っていて、それなりに賑やかだった。
二水に戻り、4分の接続で16時34分発、基隆(キールン)行き2234次区間車に乗り換え。台鉄の区間車は、列車種別名に反してわりと長距離運転を行っているのだが、この区間車も、二水駅から3つばかり南に行った斗六を16時17分に出発し、終点の基隆到着は21時31分というかなりのロングランである。
その車両は、台湾に来てから3度目となる、EMU800型電車の8両編成。午前中に乗った成追線の列車同様、正面は黄色い部分が多い塗り分けで、車内は全てロングシートだった。その6両目に乗り込むと、6人掛けのシートが埋まるか埋まらないかの乗車率。そういえば、昨日乗った台北あたりだと、博愛座、日本で言うところの優先席でもわりと平気で座っていたのに対し、この辺りは他の席が埋まっていても座らない人が多く見える。その後、駅ごとに乗り降りは有るものの、全体では降りる方が多いらしく、程なくして空席が目立つようになってきた。
そんな中、途中から乗ってきた、ジャージを着ている女学生がとても可愛らしい。まさしく美人の卵といった按配である。当地の学校は夏休み中の筈だが、クラブ活動でもやっているのであろうか。
それにしても、この列車も冷房が効きすぎている。件の女学生はジャージのジッパーを首まで上げているし、隣に座ったTシャツ姿の若い男性も、寒さに備えて持っていたのかバッグから取り出したフード付きの服を羽織りだした。
列車は彰化を2分遅れて発車。それでも、次の新烏日での乗り換え時間は20分あるので大丈夫だとは思うが、初めての台鉄と高鉄の乗り換えなので、少しばかり緊張してきた。
新烏日で下車した後、階段を上ってから長いコンコースを急ぎ足で移動。同じ列車から降りた人であろうか、まわりには私同様急ぎ足で高鉄の乗り場に向かう人もいる。
先程の列車の車内で調べておいたのが功を奏し、迷うことなく高鉄の乗り場へと到着。更に切符も、先程の列車に乗っている最中に予約をしていたものを自動券売機で受け取るのだが、これもやり方を事前に調べておいたので問題なく出来た。どちらもインターネットとスマートフォンを使ったのだが、本当に便利な時代になったと思う。
それで初めて乗る高鉄こと台湾高速鉄路(タイワンガオスーティエルー)であるが、国営の台鉄とは別の、民間企業である台灣高速鐵路股份有限公司が運営しており、台北市内の南港(ナンガン)と、高雄市内の左営(ズォーイン)の間約350kmを、停車駅が少ない速い列車で1時間45分、全ての駅に停車する列車でも2時間25分で結んでいる。なお、将来は終点を高雄まで延伸する予定で、現在工事が進んでいる。
ちなみに、運営会社が違うためか、ここ台中がそうであるように、台鉄と高鉄では駅名が同じでも場所が遠く離れていることがままあるので、注意が必要である。
また列車は全て、日本の新幹線700系電車を元にした12両編成の700T型電車で運行されているのだが、台鉄の列車は1編成の中に指定席と自由席、そして普通車と商務車が混在する事は無いところ、高鉄の列車は編成中1両が商務車(ビジネスクラス)、台北寄りの3両が自由席と、運賃の違う車両が併結されているなど、列車編成の違いもある。
今回乗る列車は、17時48分発、663次、左営行き。日本の新幹線のように停車駅や運行区間によって別の愛称が付けられたりはしておらず、そもそも高鉄には列車の愛称そのものが存在しないのだが、この列車は台北と左営を除いた途中の10駅のうち、3つの駅を通過する比較的停車駅が多いタイプである。
まず先頭切って乗車した時、デッキと客室の間の自動扉が、日本の新幹線ように何もしなくても開くものではなくボタンを押さないと開かないことで後ろのお客さんに軽く迷惑を掛けてしまったのだが、その他にも、前面の形状や乗務員用扉の有無など新幹線700系電車と細かい違いがあり、その際たるものが窓際に備え付けられている脱出用ハンマーではないだろうか。
ただし、今回座った進行方向右側の車窓から見える景色は、日本の新幹線とあまり変わるところがないというのは正直なところ。これは基本的に郊外に作られた高架線を走ることと、走っている区間が台湾西部の、台湾では一番の平地が続くことろというのが大きい気がする。私が住む栃木県の、那須塩原なり宇都宮から東北新幹線に乗って上京すると車窓には農地と宅地が混在した景色が広がるのだが、まさしくそんな感じである。列車は嘉義市のあたりで北回線を超え、亜熱帯から熱帯に入ったはずなのだが、そんな景色が続いていたため、あまり実感はない。
そして車内はほとんど空席がないくらいの乗車率なのだが、私の隣では兄妹と思しき子供2人が、一人はスマートフォン、一人はタブレットを使ってゲームに興じている。その子達の両親は、通路を挟んだ隣に座っているようだが、その人達の出で立ちは、いかにも上品そうだ。その所為か子供達も、大きな声で騒がないのが有り難い。
外は夕焼けからだんだんと暗くなっていき、列車は台中を出てから約45分で台南に到着。隣の親子連れはここで下車していった。
そこから12分、定刻の18時45分に左営に到着した。終点まで乗車した人は、かなり多いようであった。
左営到着後、高雄駅近くに取ったホテルにまっすぐ向かっても良かったのだが、今日は列車に乗り間違ったりしたお陰で昼食が食べられず、現在大変空腹である。また、今回の旅で高雄に泊まるのはこの日だけとあって、当地で食べたいものをあらかじめいくつか調べておいた。
なので宿に行く前にそれらを食てしまおうと、高雄捷運(カオシュンジュエン)に乗り換えて向かうことにした。
【左営/高鉄の高雄捷運乗り場】
【盬埕埔駅にあったちびまる子ちゃんのプリクラや記念撮影用看板など】
高雄捷運は、高雄市内の交通渋滞を解消するために2008年に開業した大量輸送機関。今年に入って、台鉄の貨物線だった高雄臨港線の経営を引き継いで、しかも、架線は駅構内だけで、駅停車中に充電した電力で動かすという「無架線走行方式」のライトレールを採用した路線を開業させるなど、見所は多いとは思うのだが、今回はスケジュールの都合で、趣味的なものは割愛する。
それでまず、左営/高鉄からまずは紅線(ホンシェン)に乗って、橘線(ジュシェン)との乗換駅である美麗島(メイリーダオ)まで。それにしても美麗島とは、古い台湾の呼び名とはいえ、政治的にも攻めた駅名だと思ってしまうのは穿ち過ぎた見方だろうか。そしてその美麗島から2つめの盬埕埔(グーチォンプー)で下車。
それにしてもこの高雄捷運。日本の漫画、「ちびまる子ちゃん」とコラボレーションしているようで、この盬埕埔にも、プリクラや記念撮影用の看板など、様々なものがあった。
【夕食にいただいた牛肉拌麺】
【夕食にいただいた焼肉飯】
【夕食にいただいた味噌汁】
盬埕埔で降り、スマートフォンの地図を頼りにまず向かったのは、当地では有名な牛肉麺(ニュウロゥミェン)の店。有名店らしく店内に加えて店頭に置かれたテーブルは地元客と観光客で溢れ、中には日本人のグループも。そこでは、その店の名物となっている牛肉拌麺(ニュウロゥバンミェン)、汁なしの牛肉麺を食べたが、これはたいへん旨かった。
そして次は、そこから暫く歩いて当地の名物となっている焼肉飯(シャオロウファン)を食べたのだが、これも旨かった。ただし、焼肉飯と一緒に注文した味噌湯(ウェイツォンタン)は、砂糖の入った味噌汁と言うべき味で、最初は戸惑ったのだが、慣れるとこれはこれで面白く感じた。
大いに満足して再び高雄捷運の盬埕埔駅に戻り、橘線、そして紅線と乗り付いて、予約していた台鉄高雄駅至近のホテルに向かったのだが、食べ歩きで思った以上に時間を使い、着いたのは午後9時をまわった頃だった。
チェックイン後、寝る前だがちょっとだけ飲みたくなったのだが、時間も遅いので、ホテルから道路を渡ったところにあるセブンイレブンで、先程の食事のデザートを兼ねたお酒とつまみを調達するだけで済ませた。
ちなみにその酒は、疲れていたのでほの甘いシードルにした筈だったが、よく見ないでベリー系の果汁が混ざったものを買ってしまい、これが飲んだら大層甘かった。それからつまみは、今日の昼間、二水付近で散々見た、ドラゴンフルーツ。
台 北
08:13
|台鉄 縦貫線北段・海岸線(海線)
|109次
|自強号
10:50
彰 化
11:00
|台鉄 海岸線(海線)
|2528次
|区間車
11:08
追 分
11:40
|台鉄 成追線
|2613次
|区間車
11:45
成 功
11:56
|台鉄 台中線(山線)
|2334次
|区間車
12:33
后 里
13:00
|台鉄 台中線(山線)・縦貫線南段
|2333次
|区間車
14:20
二 水
14:40
|台鉄 集集線
|2717次
|区間車
15:30
車 埕
15:40
|台鉄 集集線
|2718次
|区間車
16:30
二 水
16:34
|台鉄 縦貫線南段・台中線(山線)
|2234次
|区間車
17:26
新烏日/高鉄台中
17:48
|台湾高鉄
|663次
|
18:45
高鉄左営/左営(高鉄)
18:57
|高雄捷運
|紅線 小港方面
|
19:10頃
美 麗 島
19:19
|高雄捷運
|橘線 西子湾方面
|
19:23頃
盬 埕 埔
20:44
|高雄捷運
|橘線 大寮方面
|
20:48頃
美 麗 島
21:00
|高雄捷運
|紅線 南岡山方面
|
21:02頃
高雄車站(泊)
台鉄 TR-PASS(全票・3日) 1800元
台鉄 基隆-彰化(自強号) 479元
高鉄 台中-左営(標準廂) 790元
高雄捷運 左営/高鉄-盬埕埔(悠遊卡) 30元
高雄捷運 盬埕埔-高雄車站(悠遊卡) 20元
(計 3119元)
現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。
このブログの管理人
【ご注意】 このブログに記載された情報は訪問当時のもので、現在のものとは異なる場合があります。あしからずご了承ください。
ツイッター
カテゴリー
ブログ内検索
最新記事
カレンダー
アーカイブ
忍者ツールズアクセス解析