趣味の活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】
日本には、「世界一過酷な大会」と呼ばれるサッカーの大会があるのをご存じでしょうか?
それが、1977年に開始され、現在は毎年11月に行われている『全国地域サッカーチャンピオンズリーグ』。全国に9つある社会人の地域リーグの優勝チームと、別に行われる『全国社会人サッカー選手権大会』(トーナメント方式)の上位チームなど全12チームで争われ、予選に当たる1次ラウンドが12チームを3グループに分けた4チームの総当たり戦を連続3日間で、そしてその2週間後に各グループの1位3チームと2位のうち最上位の1チームの計4チームの総当たり戦を連続3日間で行って優勝から4位を決定するというもの。その1次ラウンドが、今年は宇都宮市の栃木県グリーンスタジアムで行われるというので、観戦してまいりました。
『全国地域サッカーチャンピオンズリーグ』(以下、地域CL)は、その名前からして、全国の地域ごとに行われている地域リーグ、北から順に、北海道サッカーリーグ、東北社会人サッカーリーグ、関東サッカーリーグ、北信越フットボールリーグ、東海社会人サッカーリーグ、関西サッカーリーグ、中国サッカーリーグ、四国サッカーリーグ、九州サッカーリーグで優勝したチームの、更にその頂点を決めるための大会ということになるのですが、それともう一つ重要な役割が。それが、この大会で(2017年の規則では)準優勝以上の成績を収めた場合、全国リーグである日本フットボールリーグ、JFLに昇格することができるのです。(ただし当該チームがJFL入会を希望しない場合を除く。)
現在、日本国内の(社会人及びプロ)サッカーリーグはピラミッド構造になっているというのは、今年JFLの試合を観戦した際の記事にも書いたのですが、ここで改めて書くと、トップリーグであるJ1、その下のJ2、更にその下のJ3までがプロ選手を擁するクラブチームで争われる、いわゆるJリーグ。そして格的にはJ3リーグと同格とされ、アマチュアではトップリーグとして位置づけられているものの、実質的にはJ3リーグの下の4部リーグに相当するのがJFL。そして、その下の実質5部に相当するのが、全国の地域サッカー協会ごとに行われている地域リーグとなり、更にその下は、地域リーグが2部制(東北、関東、東海、関西)の場合地域2部が実質6部で、その下の県リーグが実質7部。地域リーグが1部制のところは県リーグが実質6部。北海道は2部がブロック制なので、ブロックリーグが実質6部となります。で、例えば、とあるクラブチームがJリーグ参入を目指そうとした場合、所属カテゴリーで好成績をあげて前述のピラミッドを下から昇格していくことになるのですが、その中でもこの地域CLが、そこに出場するためのハードルの高さと最大2チームしか昇格出来ないという狭き門なのに加え、社会人選手が3連戦を2回行うことから来る日程の過酷さ(よって金曜日は選手数が少なくなるというチームも。)や、試合数の少なさから来る1勝の価値の重さ、そしてそれらから来る肉体的、精神的負荷の高さなどから、一番の難関と言われています。(その他にも、Jリーグ入会のためにはクラブライセンス取得など厳しい条件があるのですが、更に長くなるのでここでは省略。)
その地域CLに出場するためには、前述のとおり各地域リーグで優勝する必要があるのですが、他にも方法があって、それが10月中旬に、全国の地域リーグ以下のカテゴリーに属する社会人チームによっ行われる『全国社会人サッカー選手権大会』(通称、全社大会)。全国に9つある地域サッカー協会ごとに予選大会を実施して決定した全32チームがノックアウト方式のトーナメントを行い、その上位3チーム(そこに地域リーグ優勝チームが含まれた場合4位までの最大3チーム。)が地域CLの出場権が与えられます。(余談ですが、この大会。準々決勝戦を突破した場合、社会人選手で構成されたチームが5日間続けて試合を行うことになり、かつては「罰ゲーム」とも呼ばれていたのですが、近年になって成績上位に地域CLの出場権が得られるようになってからは、地域2部や県リーグなどから飛び級でのJFL昇格を狙って本気で出場するチームが多くなったとか。)更に、全社大会の上位チームが既に地域リーグ優勝で地域CLの出場権を得ていた場合、各地域リーグ2位となったJリーグ100年構想クラブの登録が早い順から(クラブで1回だけ可。今年は該当なし。)、更にそれでも不足する場合、各地域リーグ2位のチームから各地域サッカー協会の社会人登録チーム数の多い順から輪番で出場権を得られるようになっています。(今年は東海、北海道、中国……という順。それで東海リーグ2位のチームが出場権を得ました。)
と、ここまでで大変長くなってしまったのですが、そんな大変な思いをして2017年大会の出場権を得たのが、十勝FC(北海道・北海道優勝)、コバルトーレ女川(宮城県・東北1部優勝)、VONDS市原FC(千葉県・関東1部優勝)、サウルコス福井(福井県・北信越1部)、鈴鹿アンリミテッドFC(三重県・東海1部優勝)、FC刈谷(愛知県・東海2位)、アミティエSC京都(京都府・関西1部優勝)、FC TIAMO枚方(大阪府・全社4位・関西1部2位)、三菱自動車水島FC(岡山県・中国優勝)、松江シティFC(島根県・全社2位・中国2位)、高知ユナイテッドSC(高知県・四国優勝)、テゲバジャーロ宮崎(宮崎県・九州優勝)の以上12チーム。これらがグループA・B・Cの3組に分かれ、11月11~13日に栃木県グリーンスタジアム(栃木県宇都宮市)、五色台運動公園『アスパ五色』メイングラウンド(兵庫県洲本市)、鹿児島県立サッカー・ラグビー場(鹿児島県鹿児島市)で行われる1次ラウンドに臨み、その各グループ1位と、2位のうちもっとも成績の良いチームの合計4チームが、11月24~26日にゼットエー・オリプリスタジアム(千葉県市原市)で行われる決勝ラウンドに進みます。ちなみに、組分け抽選(結構難しい抽選方法なのですが、ここでは省略。)は10月22日におこなわれ、グループA(栃木県グリーンスタジアム)がVONDS市原FC、サウルコス福井、鈴鹿アンリミテッドFC、松江シティFC。グループB(五色台運動公園『アスパ五色』メイングラウンド)がアミティエSC京都、FC TIAMO枚方、三菱自動車水島FC、高知ユナイテッドSC。グループCが十勝FC、コバルトーレ女川、FC刈谷、テゲバジャーロ宮崎となったのですが、このうち、十勝FCと三菱自動車水島FCは、JFL入会届けを提出しませんでした。(その2チームが2位以内に入った場合、JFL入会チームはその分減となります。)
その試合方式ですが、1次ラウンド、決勝ラウンドとも、45分ハーフ90分、それで決着が付かない場合はPK戦で勝者を決める、4チーム総当たり1回戦のリーグ戦を行い、90分勝ちは勝点3、PK勝ちは勝点2、PK負けは勝点1を得るシステムで、3試合の勝点合計(勝点が同じ場合90分勝ちの多いチーム、それも同じ場合は得失点差、総得点数、当該チーム間の対戦結果、PK戦の得失点差(PK戦の回数が異なる場合は非該当。)、反則ポイント、抽選の順序で決定。)で順位を決定します。
前置きが大変長くなってしまったのですが、その地域CLが行われる栃木県グリーンスタジアム。(通称、グリスタ)かつては足繁く通ったこともあったけど、思うところあってサッカー観戦から遠ざかってしまっていたためここ5年ほどご無沙汰になってしまっていたのですが、今回、地域CLの1次ラウンドが行われると知り、久しぶりにお伺いすることにしました。
県のちょいとばかり北の方にある自宅から宇都宮市の清原工業団地にあるスタジアムまでは、国道4号や国道408号などを通ればクルマで1時間も掛からずに行くことが出来るのですが、問題は駐車場。グリスタは、スタジアム自体の駐車場のキャパシティが少ないため基本的に関係者のみとなっているので、工業団地の中央を南北に貫く清原中央通りの両脇にあるグリーンベルトが半ば公認の駐車場と化しているのですが、この前日観戦に行った家人によると、グリスタの(メインのグラウンドの北西にある)サブグラウンドに隣接する駐車場が開放されていたとのこと。で、この日は午前10時10分頃(ちなみにこの日最初の試合のキックオフは午前10時45分。)に到着したのですが、まだ多少、スペースに余裕がありました。それにしても、さすがは地域CLだけあって、停まっているクルマのナンバーは、県外の方が多かったですね。
【駐車場からスタジアムに向かう】
【通路から見たメインスタンド】
駐車場からスタジアムへは、歩いてすぐ。本日は無料試合なので、駐車場から一番近かったホーム側の通路を通ってスタジアムに入ります。
大会プログラムは昨日家人が購入していたので、この日はスルー。ですが、プログラムを売っていた県サッカー協会?の方に、バックスタンドに入場可能か聞いたところ、客席解放はメインスタンドとゴール裏のみで、バックスタンドは入場不可とのこと。実はグリスタって、午後になるとメインスタンドが日陰となってこの時期は大変寒くなるのですが、バックスタンドは終始日向なうえ、スタンドの角度がわりと急なお陰で最上段付近からの眺めが試合を観る上でとても都合良いんですよね。でも入れないものは仕方ない(実は試合開始後、バックスタンドに入って観戦していた人がいたのですが、途中で係の人に注意を受けたのか、その後居なくなっていました。)のでメインスタンド中央付近に席を確保。ちなみにメインスタンドも全面開放ではなく、通路を挟んで上半分は、関係者席になっているようでした。
そしてピッチに目を移すと、昔と変わらぬ芝の悪さ。フィールド内に所々痛みが目立ちます。またタッチライン沿いの、線審が異動する部分の芝は完全にはげてしまっていました。
この日最初の試合(午前10時45分キックオフ)は、松江シティFC対サウルコス福井。
松江シティFCは、島根県松江市をホームタウンとするクラブで、元々中国リーグに参戦していたヴォラドール松江を母体に2011年に設立。クラブの公式サイトにはJFL昇格、2020年までのJリーグ参入が謳われています。ちなみに、全10チーム2回戦で争われた今年の中国サッカーリーグを14勝2分2敗、勝点44、得失点差+64という成績で2位だったのですが、全社大会で2位に入り出場権を獲得しました。
一方、サウルコス福井は、福井県福井市をホームタウンとするクラブで、NPO法人 福井にJリーグチームを作る会の呼びかけにより、北信越フットボールリーグ2部に参戦していたFC金津を母体に2006年設立。こちらも設立時のNPO法人名からも判るとおり、将来のJリーグ参入を目指しています。ちなみに、全8チーム2回戦で争われた今年の北信越フットボールリーグ1部を11勝2分1敗、勝点35、得失点差+50という成績で優勝しました。
【試合前の整列】
【遠路遙々駆けつけた松江サポーター】
【遠路駆けつけた福井サポーター(左端に恐竜!)】
それで1次ラウンド2日目となるこの日。前日の試合で、松江はVONDS市原FCに1-2で負けて後が無い状況で、一方の福井は鈴鹿アンリミテッドFCに2-1で勝利してグループ首位タイで迎えました。
そんな両チームの試合なのですが、松江が引き気味というか、一度後ろにボールを送ってからの縦の攻めを行っていたのが印象的で、このような大会を勝ち抜くための戦術を徹底しているよう。福井はそんな松江にボールを持たせていたようにも見えました。で、ボールを持ってもシュートまで行くこともあまりなく迎えた前半43分。松江がPKを獲得すると、序盤から動きが目立っていたFWの金村選手(背番号39)が右足で決め先制。そのままハーフタイムを迎えました。そして後半。ハーフタイムで福井は前線の選手を一気に3人交替(ちなみに、選手交代は1試合5人まで可。)して攻勢に出ると、後半28分、その交替で入ったFW松尾選手(13)がゴールを決め同点に。ただ、ここからどちらも点数が入らないまま時間が過ぎていったのですが、アディショナルタイムに入って終了直前、福井は残っていた最後の交替枠でゴールキーパーを替えてきました。
PK戦は、松江側のゴールを使い、松江の先攻で開始。で、先程交替で入った福井のGK、千葉選手(21)が何と2本も阻止する活躍で、PK戦は3-4で福井が勝利しました。そしてその結果、福井は勝点を5に伸ばし、松江は勝点1を得ましたがグループ1位の可能性は無くなってしまいました。
次の試合は、VONDS市原FC対鈴鹿アンリミテッドFC。先程のPK戦の影響でキックオフ時刻が15分繰り下がって午後1時45分からとなました。
その対戦する両チーム。VONDS市原FCは、千葉県市原市をホームタウンとするクラブで、将来のJリーグ参入を目指しています。その歴史は古く、古河電気工業千葉事業所サッカー部として1967年に創立。一時は日本サッカーリーグ2部に参戦しました。そしてS.A.I.市原サッカークラブを経て、再び千葉県リーグ1部所属だった2011年、市原市サッカー協会が主体となってクラブ名をVONDS市原FCに変更。ちなみに、全10チーム2回戦で争われた今年の関東サッカーリーグ1部を13勝3分2敗、勝点42、得失点差+26という成績で優勝。全社大会でも3位に入りました。
一方、鈴鹿アンリミテッドFCは、三重県鈴鹿市をホームタウンとするクラブで、こちらも将来のJリーグ参入が目標。1980年に名張市で設立され、W.S.C.名張アドミラル、M.I.E.ランポーレFCを経て2006年、三重FCランポーレに名称変更。翌2007年には東海リーグ2部に昇格しました。そして2008年、三重県社会人1部リーグの鈴鹿クラブとの合併を発表し、翌2009年からホームタウンを鈴鹿市に移したうえで、FC鈴鹿ランポーレと改称。更に2016年、運営組織変更に伴って現在の鈴鹿アンリミテッドFCとなりました。ちなみに、全8チーム2回戦で争われた今年の東海社会人サッカーリーグ1部を11勝1分2敗、勝点34、得失点差+24という成績で優勝。全社大会では優勝しました。
【試合前の整列】
【駆けつけた市原サポーター】
【遠路駆けつけた鈴鹿サポーター】
それで前日の試合で、市原は松江に1-2で勝利して現在グループ首位タイ。一方鈴鹿は、福井相手に2-1で負けて後が無い状況になっています。
【ジャンプしながら右足の外側でパスを出すレナチーニョ選手】
【市原の決勝点】
その試合ですが、素人の印象としては、清水エスパルスでの監督経験もあるゼムノビッチが率い、選手も元川崎フロンターレのレナチーニョ、U-21ガーナ代表経験のあるマイケル・タビアン擁する市原が序盤から優勢に見え、特にFWのレナチーニョ(34)などは、いつの間にか相手ペナルティエリアに入り込んでいて、かなり怖いプレーヤーという印象。一方、鈴鹿もレベルが高いといわれる東海地区で優勝しただけあり、そう簡単に得点を許さないという感じで。で、スコアレスのまま前半が終了し、後半18分。相手の一瞬の隙を突き、前述のレナチーニョが先制ゴール。それが決勝点となり、1-0で市原が勝利しました。この結果、市原は勝点を6に伸ばしグループA単独首位となり、一方鈴鹿、そして先の試合で敗戦した松江の1次ラウンド敗退が決定しました。
本日行われた2試合の結果により、グループAの首位争いは翌日の午後行われる市原対福井戦で決定することとなりました。
そして翌日。その直接対決で市原が勝利。勝点9(得失点差+3)としてグループ首位となり決勝ラウンド進出を決めました。また福井は2位となったものの、勝点は5(得失点差0)のままで、決勝ラウンドには進めず。そして鈴鹿が午前中の試合に勝利したため、勝点3(得失点差-1)で3位。島根が勝点1(得失点差-2)で4位となりました。
あと、他グループも最終結果だけ。グループBは、アミティエSC京都が2勝1PK勝の勝点8(得失点差+3)で首位通過。高知ユナイテッドSCが2勝の勝点6(得失点差+3)の2位となりましたが通過ならず。FC TIAMO枚方が1勝1PK負の勝点4(得失点差+1)で3位、三菱自動車水島FCが勝点0(得失点差-7)の4位。グループCは、テゲバジャーロ宮崎が3勝の勝点9(得失点差+6)で首位通過。コバルトーレ女川が2勝の勝点6(得失点差+8)で2位となり、グループBの高知ユナイテッドSCを得失点差で上回ったためワイルドカードでの決勝ラウンド進出が決定。FC刈谷は1勝の勝点3(得失点差+2)で3位、十勝FCが勝点0(得失点差-16)で4位となりました。
というわけで、11月24日から千葉県市原市のゼットエー・オリプリスタジアム行われる決勝ラウンドは、テゲバジャーロ宮崎、VONDS市原FC、アミティエSC京都、コバルトーレ女川の4チームで行われる事になったのですが、都合を付けて、1日でも良いから見に行きたいと思います。
それにしても、どこそこのチームが決勝ラウンド進出、他チームは敗退などと、文字にしてしまうと味気ないものになってしまうのですが、実際にはどのチームにも、そこに至るまでの想いや賭けてきたもの、築いてきたものが山ほどあるんですよね。で、それが結実できるのはごく一部で、逆に大半のチームは無念を飲むのは、ほんと、スポーツの非情さを感じます。(だからこそ、無責任な第三者は、この戦いに惹かれるのかもしれませんねぇ。)
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