趣味の活動記録。
【タイトル題字:細身のシャイボーイ様】
「チャシ」と言っても、個人的に全く馴染みのない言葉ではあるのですが、アイヌの言語学者である知里真志保(ちり ましほ)によると、「チャシとは(アイヌ語で)山の上にあって割木の柵を巡らせた施設を指す語」だそうで。ただ、その造られた年代や用途についてははっきりした結論が出ていないみたいなのですが、発掘調査やアイヌの伝承などによると、16~18世紀頃に造られ、用途については一説によると、元々は聖域としての性格を帯びたものが、時代と共にその役割が変化し、チャランケ(集落内、集落間の秩序維持のための談判、論議)の場所としてや、集落間の争いの際の見張り場、そしてこれは和人側の文献にも残っているそうなのですが、和人との戦いでは砦として使用されたそうです。
また一口にチャシと言っても、その形状や構造などによっていくつかの分類がなされており、平坦地あるいは湖の中に孤立した丘あるいは島を利用した「孤島式」、山や尾根の頂の部分を利用した「丘頂式」、突出した台地(たとえば丘や岬など)の先端を利用した「丘先式」、崖地の上に壕を築き、その内部をチャシとした「面崖式」の4つに型分けする分類が広く利用されているそうです。
それで現在は、北海道内に500カ所以上のチャシ跡(チャシコツ)が確認されているそう(未確認のものも含めるとその数は700とも1000とも言われているそうで。)なのですが、そのうち根室半島にあるものについては、1789年のアイヌ民族と和人の戦いであるクナシリ・メナシの戦いと関連するとされ、学術的に大変貴重だそうで。また根室市内には32カ所のチャシ跡があるのですが、海を臨む崖上に、半円形や方形の壕を巡らした大規模な「面崖式」のチャシ跡が多いそうで、そのうち24カ所は「根室半島チャシ跡群」として、昭和58年(1983年)及び昭和59年(1984年)国指定史跡に指定されました。
【国道44号を行く】
この日、宿のある釧路市から、国道44号で根室まで一直線!(実際は結構クネクネしてるんですがね。)約2時間ほど掛かって根室市に到着しました。
【根室市歴史と自然の資料館】
それでまずは、実際にチャシ跡を訪れる前に、こちらで日本100名城スタンプラリーのスタンプをゲット。その後館内をひととおり見学させて貰ったのですが、その中には、チャシ跡の立体模型も展示されています。あと個人的には、根室の歴史に関するの展示物、特に近世のものについては、興味深いものが多かったですね。
で、この後、納沙布岬に行ってから、チャシ跡巡りをスタート。本来なら国指定史跡24カ所を全部回ってみたかったのですが、今回は見学用の設備が整備されているヲンネモトチャシ跡とノツカマフチャシ跡の2カ所だけまわることにしました。っていうか、草生い茂る夏場は、チャシ跡見学に適さない季節たったりするんですよね。
ヲンネモトチャシは、根室市温根元(おんねもと)にある、丘先式のチャシ跡です。
【北海道道35号根室半島線を行く】
【ヲンネモトチャシ入口の看板】
【駐車スペース】
納沙布岬から、根室半島の北側を走る北海道道(主要道道)35号根室半島線を走ること少々。(観光協会のパンフレットには10分と書いてありますが、実際はもう少し早く着きました。)温根元漁港のすぐ先に小さな看板があり、そこを車で入ったところが駐車スペースとなっています。
【ヲンネモトチャシへと続く通路その1】
【説明板】
そこから案内看板に従ってΓ状の通路を歩くとチャシ跡へと行けるのですが、途中の直角コーナーのところにあるのがこの案内板。また付近というか案内板の奥には、野鳥の観察小屋もありました。
【ヲンネモトチャシへと続く通路その2】
【通路終点の階段】
案内板から更に進んだところ、通路の終点に階段があり、先程の案内板によると、ここから先が史跡に国指定された区域となるようです。
【ヲンネモトチャシ入口付近?】
階段を上ったあたりから、チャシのある岬の先端方向を。それにしても、草が生い茂って地形がよくわからなかったりします。
【一段高くなっているところ】
【大きな平坦面】
【標識】
【標識の先】
ですが先に進むと、一段高くなっている大きな平坦面があり、草刈りもなされ標識も建っていることから、ここがチャシ本体?のようです。また、標識の先は、壕のようなものを挟んで小さな平坦面がありました。
ノツカマフ(ノッカマフ)チャシは、根室市牧の内にある面崖式のチャシ跡で、ノツカマフ1号チャシ、ノツカマフ2号チャシという2つのチャシ跡からなっています。
【再び北海道道35号根室半島線を行く】
【ノツカマフチャシ入口の看板その1】
【ノツカマフチャシ入口の看板その2】
【駐車スペースから通路を望む】
ヲンネモトチャシから再び北海道道35号根室半島線を走ること10分少々で到着。で、先程のヲンネモトチャシよりは駐車スペースはだいぶコンパクト。(観光協会のパンフレットには2台分と書いてあります。)幸いなことに他にクルマも無かったので無事停められました。で、そこから先、鎖が張ってある奥が、チャシへと続く通路になっています。
【ノツカマフチャシへと続く通路その1】
【ノツカマフチャシへと続く通路その2】
【ノツカマフチャシへと続く通路その3】
【丁字路にある案内看板】
その通路をズンズン進むこと暫し。先程のヲンネモトチャシよりはチャシへと続く通路が長くてクネクネしています。で、若干不安になってきた頃に丁字路にぶつかり、そこには左に行くとノツカマフ1号チャシ、右に行くと左に行くとノツカマフ2号チャシという案内看板がありました。
【結構狭くて浅い壕】
【ノツカマフ2号チャシの平坦面】
【ノツカマフ2号チャシの標識】
で、先に訪れたのがノツカマフ2号チャシ。こちらは、崖の上部の海に面したところに、半円形の堀に囲まれた平坦面が1つ有ります。また、堀の幅が2~3m、深さは50cm程度と結構狭くて浅いのが特徴でしょうか。
【途中に立ててあった説明板】
先程の丁字路まで戻り、今度はノツカマフ1号チャシへ。で、その途中、ノツカマフチャシ全体の説明板がありました。なので、1号から先に見れば良かったですね。
【結構広くて深い壕その1】
【結構広くて深い壕その2】
【ノツカマフ2号チャシの平坦面】
【壕と崖】
そのノツカマフ1号チャシ。こちらも、崖の上部の海に面したところに、半円形の堀に囲まれた平坦面があるのですが、2号は1つのところこちらは2つあり、また、堀の幅が約5m、深さが2~3mと結構広くて深いことが特徴でしょうか。
というわけで、根室半島チャシ跡群だったのですが、もう少し、アイヌやチャシについてよく勉強してから来るべきだったのと、季節的にもう少し草が少ない時期に来るべきでしたね。なので今回は、見学用の施設が整備してある2カ所だけまわっただけで終わってしまったというか終わらざるを得なかったのですが、今時来る時は、他のチャシもまわってみたいです。また、日本100名城に指定されている根室半島以外にも、チャシ跡は道内各地に点在しており、大規模な発掘調査が行われているところもあるようなので、そういうところも合わせてまわれたらなぁ、と。
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